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東京競売ウォッチ

2024年10月29日

第718回 価格下がり続けるワンルーム

 先週の本欄(10月21日号)では港区のマンションが共有持分の競売であるのにも拘らず多くの入札で且つ高上乗せ率での競落であったことを記した。

 さて10月9日開札では西武新宿線「野方」駅徒歩約3分に立地する専有面積約5.15坪の1Rマンション(築39年、パレ・ドール中野第3)が対象であった。このマンションは現在共益費込み月額5万円で賃貸中とある。このマンションの売却基準価額は599万円であったが、これに対し入札11本が集まり、最高価650万円にて個人が競落していった。これは専有面積坪単価126万円強であり、現状の賃貸状況から表面利回り9%強の競落水準になる。

 ちなみにこのマンションの登記情報(抵当権設定額)を見ると競売に付された所有者は約7年前に約900万円で購入したものと推察される。専有面積坪単価174万円強で購入当時から3割近く低い競落価格で処分されたことになる。先週紹介した港区のマンションとは全く逆の価格推移を辿っているように思う。さらに登記情報から平成2年バブル最盛期には3650万円、坪単価約700万円を超える価格で取引されていたと見られる。このマンション、結局平成バブル崩壊後一貫してアベノミクスも関係なく価格が下がり、約34年間で5分の1以下になったことになる。

 またこのマンションと同じ地域にあり、ほぼ同じ築年のファミリーマンションは競落事例の約2倍の坪単価230万円程度の販売価格となっている。1Rマンションがファミリーマンションと比して専有面積坪単価がかなり低いことが改めて分かる。そして今般の不動産価格急騰は立地ほかによる大きなムラがあるのである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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