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東京競売ウォッチ

2019年2月12日

第449回 変形地ながら駅前の土地に大量入札!

 駅前商業地というのは都心部において垂涎の土地と言って良いと思う。1月24日開札では正に駅前広場に面した土地が対象になった。

 それはJR山手線「鶯谷」駅南口駅前広場に面した土地である。広さは約61坪あるが、変形字型である。しかし、建物建設は問題無くできる。この物件の売却基準価額は1億262万円であった。山手線の駅の駅前立地で一坪170万円未満とは非常に安い感がある。

 しかしこの土地の用途地域は第1種中高層地域であり、且つ台東区の風致地区、第1種文教地区に指定されている。これによってまずは用途についてはホテル及び小規模なものを除いた商業施設が建設できない。

 さらには建ぺい率は、指定では60%であるが、風致地区なので建築事前許可申請の中で更なる制限が行政から課されることになるだろう。ということで駅前でありながらそれに相応しい用途の建物が建設できないというデメリットがあることで土地の評価が低いのである。

 ちなみにこの土地は2年半前には任意売で市場に売却物件として約3億円の売値で情報が流れていたが、買い手は現れず競売に移行したものである。結果として入札は23本集まり、最高価2億1600万円にて開発業者と思われる法人が落札していった。果たしてこの土地をどのように今後利用していくのか興味が持たれる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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