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東京競売ウォッチ

2009年11月16日

第17回 物件は減少に転じるも競争は過熱

 競売物件数が増加している旨の報道が結構なされている昨今であるが、このところむしろ減少している感じがする。

 というのも、今年1月から6月の上半期において13回の開札があり、その1回の平均開札対象物件数は121物件強であったが、下半期、10月30日まで都合10回の開札では、1回の平均が103物件弱まで減少している。また11月はさらに減少傾向が明らかな模様で、おそらく下半期は上半期より対象物件数が1割以上減るように思う。

 今年夏くらいには、1年間の開札対象物件は3,000物件を優に超えると予測していたが、どうやら3,000件弱に落ち着きそうである。

 これは昨年の秋ごろから急激に増えたマンションの対象物件が減ってきたことが大きい。住宅ローン返済延滞への銀行の対応が、返済条件の変更を行うなど、競売へ進行させない方法にシフトしているようにも思える。

 一方で競売市場の過熱とも言える状況は明らかになっており、10月30日開札において1落札物件に対する入札本数は約13.8本にも上った。昨年の同時期(10月23日)では、わずか4.6本強に過ぎなかったことを考えると、かなり急激な過熱化と言えよう。

 また夏くらいに比して高額物件への入札も活発になってきている。この6月に港区に立地する売却基準価額8,000万円程度の物件に7本ほどの入札であったが(競落価格約1億2,000万円)、前回の10月30日には、新宿区に存するほぼ同価格の戸建に18本もの入札が集まった(競落価格は1億4,000万円)。

 物件数増加が鎮静する中、競落の競争激化はこのまま続くのか、今後注目していきたい。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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