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東京競売ウォッチ

2021年1月26日

第537回 2020年東京地裁競売市場の総括(2)

 先週に続き昨年2020年の東京地裁本庁の競売市場の総括をしてみたい。先週の本欄ではコロナ禍であったのにもかかわらず競売市場は対象物件の減少の中、高い競落率で推移したことを記した。さて今年の競売市場はどのように推移するだろうか。

 そこで表1を見て頂きたい。昨年の配当要求終期の公告の件数推移で、これは競売の差押え件数とも言える。昨年の配当要求終期の公告総件数は1120件であったが、一昨年は1279件で159件、12.4%減少している。コロナ禍での昨年春の緊急事態宣言による裁判所機能停止期間が影響したことはあるが、それを鑑みても少ない数字である。

 これは政府のコロナ禍に対処するための金融支援策によって倒産を抑制した結果と言えよう。従って今年に関しては競売対象物件の増加は暫く起きないだろう。また表2は昨年の競落1物件あたりの入札本数推移であるが、見ての通り昨年の下期は13.58本と急激に上昇している。これは競売市場の競争が厳しくなってきている状況を表していて、今年も引き続き少数物件に対し多くの入札が集まる競売市場となりそうだ。



山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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