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東京競売ウォッチ

2012年9月11日

第151回 堅調な実需ファミリー向け

 中古マンション、とりわけ実需ファミリー向け物件の市況は堅調のようである。東日本レインズの動向でも、このところの成約件数は上昇している。現況、不動産流通会社は売り物件確保の方が大変のようだ。

 そんな中、8月9日開札で、1番人気になったのもファミリーマンションであった。JR常磐線「亀有」駅徒歩約6分に立地するその物件は築17年で、専有面積約18.5坪の3LDKの部屋であった。売却基準価額は1,262万円であったが、これに対し、入札が42本集まり、最高価2,001万円強にて業者が落札していった。

 城東地域のマンションでありながら、これだけの大量入札があったのには、現在空室であり、商品化が早いこともあったろう。

 一方で、同じ日、売却基準価額未満で、かつ1本のみの入札で競落されたファミリー向けマンションもある。それは、JR総武線「小岩」駅徒歩約8分に立地する、築31年の専有面積約17坪の3DKの部屋であった。

 この物件の売却基準価額が915万円であったのに対し、741万円にて業者が落札した。同じ城東地域のマンションでありながら、大きな人気格差である。

 これは、もちろん築年の問題もあるが、むしろマンションの規模やグレードの相違であろう。先の小岩のマンションについては、総戸数が12戸と小さく、エレベータも設置されていない。再販価格が読みにくい物件と言える。

 ただ再販業者としては、仕入れ競争が今後も引き続き激しいと思われる中、築古やグレードの低いマンションへの入札を、しっかり値踏みした上で行うのも一手法かと思われる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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