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東京競売ウォッチ

2011年7月26日

第100回デベのマンション用地取得

 デベロッパーは新規のマンション開発のための用地取得を震災後しばらく控えていたと言われる。それは、震災によるマンション需要について、見極めたいということや、建築コストや工期が読みにくいという理由からのようだった。

 しかし、ここへきてエンドユーザーのマンション需要の回復などから、デベロッパーの用地仕入れも行われるようになってきたようだ。

 7月7日開札では、東京メトロ丸ノ内線「中野坂上」駅至近の古家が付いた540坪もの土地に6本もの入札があった。そして、売却基準価額9億7,221万円に対し、落札価格は14億3,000万円であった。

 この土地は複数の古家や存在し、そこには最先の賃借権者などもいる。所有者・債務者は再開発を実施すべく購入したところ、リーマンショックなどにより計画が頓挫したものと思われる。

 ちなみに、この中野坂上の土地は、その平成23年路線価が1坪約350万円であるので、路線価ベースでも19億円近い評価になる。地形が一部変形していることや、占有などの権利関係整理を要するので、相当の割引が必要ではあるものの、それを考慮しても路線価程度の仕入れができたということになる。

 デベロッパーも仕入れ再開してはいるものの、震災前に比すれば、その仕入れ価格水準については、強気には設定していないようだ。

 また、マンションの落札が好調ではあるものの、その中でも億ションクラスについては、再販業者は強気の入札になれないようだ。7月7日開札で築4年弱の四谷の専有面積31坪強の物件が落札されたが、落札価格は売却基準価額8,712万円に対して、10%弱の上乗せの9,555万円であった。

 デベロッパー、再販業者とも仕入れに慎重な部分もある。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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