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東京競売ウォッチ

2020年5月26日

第511回 緊急事態宣言後の大都市圏以外における競落状況は?

 東京地裁では、自粛期間につき入開札はなされない状況が続いている。(東京地裁本庁は予定していた7月1日開札分までが取消である。)そんな中、入開札が行われている地方もある。

 その中には、いまだ新型コロナウイルス感染者ゼロの岩手県がある。そんな岩手県ではどのような物件が競落されているのだろうか、またその水準はどの程度であろうか。BITシステムで盛岡地方裁判所の売却結果を見ると、岩手県久慈市一八日町の土地が入札6本集まって落札されていた。

 この土地はJR八戸線「久慈」駅徒歩約8分に立地する約264坪である。売却基準価額1356万円のところ6本の入札があり、最高価2100万円と55%近い上乗せ率で競落されている。この開札は4月14日であるので、コロナウイルス蔓延の件はすでに知れていたと思われるが、競落状況にはあまり影響を及ぼしていないように見える。

 やはり大都市圏以外は不動産価格へのコロナウイルス感染問題による値下げ圧力は小さいということなのかもしれない。東京など大都市についてはどのような影響が競売市場に出るのかまだ予想はできない。

 3月までは東京の中古マンション市場は堅調とのデータもあるが、これはコロナ禍前の結果と言ってよい。またこれから競売を申し立てる案件、もしくは競売申立後で差押え直後の案件などは、現況調査や評価といった手続きが遅延していると思われ、競売市場全体が後ろ倒しになっている。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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