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東京競売ウォッチ

2018年8月28日

第427回 一棟マンションに大量入札で個人が落札!

 「かぼちゃの馬車」事件以降サラリーマンの一棟マンション投資について慎重姿勢を銀行や投資家が見せていると聞く。しかし引き続き金融緩和は継続しており個人の収益不動産投資は衰えていないようにも思う。

 8月2日開札では東京メトロ東西線「葛西」駅徒歩約6分に立地する一棟物の共同住宅が高額にもかかわらず49本もの入札が入ったのには驚かされた。この物件は敷地が北側で幅員約14m、東側で幅員約6mの公道に面する角地で広さが約125坪ある。建物は築約12年、鉄筋コンクリート造6階建で1DK、2DKとの11戸ずつで形成された延床面積約342坪である。

 さてこの物件は経費控除後の年収が約2000万円が見込まれるが、評価書では収益還元利回りを約7%に設定し、収益還元価格を3億円強で見積もっている。この結果もあり売却基準価額は2億6640万円であったが、これに対し先の本数の入札があり、最高価は6億130万円で個人が落札していったのである。

 この水準では年利回り5%確保も難しい状況だろう。それでもこの水準の競落であったのは、もちろん立地の魅力もあろうが、比較的築年数が新しいのと、評価書の中に建築確認のみならず検査済証も取得していることが明記されていることあろう。しかし、この競落結果からもまだまだ個人の収益不動産取得意欲は衰えていないことが分かる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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