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東京競売ウォッチ

2018年4月17日

第411回 マンション評価額が高め設定傾向に

 このところマンションの競落価格の売却基準価額に対する上乗せ率が低下傾向にある。例えば前回3月13日では38.4%の上乗せ、4月12日開札では48.0%上乗せが平均である。昨年一年間の平均52.5%、一昨年一年間平均の63.1%と比較して低くなってきている。これは中古マンション相場が低調になり、再販価格が低下しているということよりも元の売却基準価額が高くなっているからだと思う。

 例えば4月12日開札で京成本線「新三河島」駅徒歩約3分の専有面積約7坪のワンルームマンションが開札対象となり、売却基準価額1130万円のところ競落価格1337万円強と上乗せ率は18.3%に止まった。(入札6本)この物件は築10年であるが、現賃借人の賃料は共益費名目のものを足すと月額8.1万円で年額97.2万円である。管理費、修繕積立金、固定資産税等を差し引いた実質年収は81万円強である。そもそも売却基準価額ベースで、年7.2%水準ということは、立地から考えて決して大きなディスカウントではないだろう。また現賃料もやや高めにも思える。評価書の内容を見てみると、積算評価で算出する過程で、取引価格を参照にとの理由で1.3倍としている。さらには競売市場修正が2割減と、従来の3割から減らしてもおり、この2点で売却基準価額が引き上がったようだ。今後入札を検討する方は評価額設定過程をチェックすることを励行されたい。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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