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東京競売ウォッチ

2022年10月11日

第620回 中野店舗・共同住宅に入札60本!

 中野駅周辺の再開発は11事業で延110haに及ぶ大再開発になる構想で、順次進行中である。そんな将来を見据えた結果、2022年の東京都基準地価では中野駅周辺はトップの上昇率となった。9月14日開札では中野駅と同じ中野区にあり、東京メトロ丸ノ内線「中野新橋」駅徒歩約1分に立地する店舗・共同住宅に今年1番の大量入札があった。

 この物件、土地は南側で幅員約5.3mの公道に面する約9.8坪で、そこに築33年の鉄骨造地下1階付3階建で延床面積約27坪の建物が建っている。1階は飲食店舗で地下が倉庫、その余は住宅である。店舗は所有者が経営していたようだが死亡によって閉店、空室となっている。さらに2階、3階もそれぞれ1Rの部屋であるがいずれも空室になっている。さてこの物件の売却基準価額は1721万円であったが、そこに60本の入札が集まり、最高価4343万円にて競落されていった。

 ちなみにこの物件の土地の正面路線価は1坪約188万円である。建物は耐用年数が経過していて評価しないとすると、土地の相続税評価額は約1850万円となり、競落水準は路線価評価ベースに対し約2.3倍となる。売却基準価額に対しても150%超の上乗せ率であり高い水準の競落ではある。ただ建物を大幅にリノベーションすれば年収300万円は見込めそうだ。そう考えると高すぎた競落とも言えないように思える。いずれにしろこの大量入札には中野区人気もその背景にあるように思える。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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