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「斜め45度」の視点

2022年11月22日

第412回 NHK、東京新聞、ダイヤモンドオンラインが『マンション高騰』に興味津々

 このコラムでは前回、日本経済新聞社が2022年10月に、「日経新聞の紙面」及び「日経新聞のウェブサイト」で報じた、『マンション高騰シリーズがもたらすインパクト』に焦点を合わせました。

 それに続いて今回は、「NHK」、「東京新聞」、「ダイヤモンドオンライン」という、有力な各メディアが報じた内容に焦点を合わせることにしましょう。

[■■]NHKの「首都圏 NEWS WEB」

 NHKの「首都圏 NEWS WEB」は、2022年9月21日16時53分に、「首都圏のマンション価格、先月は2か月連続下落も高水準続く」と報じています。

 URL<https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20220921/1000085004.html>

 すなわち、『マンション高騰』について、10月8日に報じた「日経新聞の紙面」及び「日経新聞のウェブサイト」と比較すると、2週間以上も早く報じていたことになります。

 NHKの報道を要約してみましょう。

 ❶先月、首都圏で発売された新築マンションの平均価格は6100万円余りと、去年の同じ月を18%下回り、2か月連続で下落しました。ただ、価格は引き続き高い水準で、調査会社は資材の高騰などを背景に高値の傾向が続くとみています。

 ❷調査会社「不動産経済研究所」によりますと、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で先月発売された新築マンションの1戸あたりの平均価格は、6102万円で去年の同じ月を1350万円、率にして18.1%下回って、2か月連続で下落しました。

 ❸都内を中心にマンションの供給が多かった去年と比べて、新たに発売された高額なタワーマンションなどが少なかったことなどが主な要因で、東京23区は7905万円と、去年の同じ月より26.9%の大幅な下落だったほか、埼玉県も4587万円と、6.2%下回りました。

 一方、神奈川県が5561万円で14.4%、千葉県が4330万円で12.3%といずれも去年の同じ月を上回りました。

 ❹「資材価格の高騰」や「堅調な住宅需要」などを背景に価格は高い水準が続いていて、調査会社は「資材価格を含めた建築費の高騰で、先行きが不透明なことから依然として供給は少なくなっている。土地の価格が高いこともあり、今後も高値の傾向は続く」としています。

 以上をまとめましょう。

 「建築費の高騰」、「土地の価格の高さ」、「堅調な住宅需要」から、「首都圏で発売された新築マンションには高値の傾向が続いている」。

[■■] 東京新聞の「TOKYO WEB」

 東京新聞の「TOKYO WEB」は、2022年6月5日6時に、「東京23区の新築マンション平均価格は8449万円、バブル期超え最高値」と報じています。そのエッセンスを要約してみましょう。

 東京23区の新築分譲マンションの価格が高騰し続けている。「不動産経済研究所(新宿区)」によると、2021年度の戸当たり平均価格は、バブル期を超え、8449万円と過去最高を記録した。8000万円を超えるのは30年ぶり。慢性的な人手不足による建設費の上昇が主な要因だ。コストが下がる見通しはなく、価格高騰は続く可能性が高いとみられている。

 一方で、高価格にもかかわらず、住宅ローンの低金利の影響もあり、「売れ行きは好調」だ。コロナ禍で在宅時間が増え、充実した住環境を求める人や共働き世帯の増加も背景にあるようだ。

 バブル期と異なるのは購入目的だ。「バブル期は投資商品がほとんど」だったが、「現在は実際に住むケースが多い」という。タワーマンションなど高級物件の動きが活発なこともあり、数年住んだあと値動きを見て売却し、新たな物件に移る動きも広がっているという。

 供給側の環境も変化している。コストの高さから、駅に近いなど利便性の高い場所でないと利益が出ないといい、同研究所の担当者は「供給側も選択肢が狭くなっている」と話す。

 2021年度の供給戸数は、新型コロナウイルス感染拡大による前年度の落ち込みからの反動で、18.3%増の1万3169戸となった。

 ただ、近年、用地取得でホテル業界などとの競争も激しいこともあり、大きく増えることはなさそうだ---。

 URL<https://www.tokyo-np.co.jp/article/181368>

[■■] ダイヤモンドオンラインの「警鐘記事」

 筆者は「株式会社スタイルアクト・代表取締役」で、「不動産コンサルタント」の沖有人氏です。この記事は、3つのブロックで構成されています。

 ❶「資産形成につながるマンション選びの法則」
 戸建ては建物価値が早々にゼロになってしまうことから資産性は低いが、マンションは立地やタワーなどの物件属性で資産性が維持されることを統計的に分析し、7つの法則として示した。

 法則というだけあって、それは再現性があり、その法則に従った人は自宅で資産を形成することができた。アベノミクス以降の金融緩和で不動産資産が値上がりしたこともあり、その法則を知って自宅を購入した人の含み益は、世帯当たり2000万円を超えている。これは住まいサーフィンの売却検討時の自宅査定金額の平均値である。(以下、略)

 ❷「最近の新築マンションは平均で適正価格より2割高い」
 しかし、最近のマンション価格の高騰で顕著なのは、いつ購入したかで含み益の金額が大きく違うことだ。昨年購入した人より、一昨年購入した人の方が含み益は大きい。今はまだ価格が上昇中だが、下がり始めたら含み益の少ない人から含み損に転落することになる。つまり、これまで購入した人よりもこれから購入する人の方がリスクは大きいのだ。(以下、略)

 ❸「中古物件を購入すべき合理的な理由」
 今の新築価格が2割高かろうが、相場が今後4年で2割増しになるなら、4年後には適正価格になっていて、含み損は生まれなくなる。しかし、「だから買っていい」という論法はいつか来た道だと気付く。それはバブル経済の時の発想と同じだ。

 将来の価格はこれまでの価格変動と同じで、上昇すると考えてマイホームを買った人がババ抜きのゲームに負けた歴史だ。将来の価格変動が確実そうに見えても、それは100%確実ではない。そのシナリオに乗って、一生に一回かもしれないマイホームを購入するのは、「ギャンブル」になってしまう。バブル期と同じでは、私が分析してきた意味がない。将来の価格は現状維持を想定して適切な判断をしたいものだ。(以下、略)

 URL<https://diamond.jp/articles/-/310821?page=2>

 上記のダイヤモンド社は、2022年10月1日付で、雑誌【「週刊ダイヤモンド」2022 10/1号】を発行しました。

 「沈むゼネコン、踊る不動産、バブル崩壊前夜」という、インパクトの強いタイトルを付けています。

Part1「沈むゼネコン 赤字地獄」

Part2「踊る! 不動産マネー」

Part3「止まらない 再開発バトル」

Part4「ゼネコン・不動産の乱戦」

Part5「ゼネコン・不動産・住宅メーカー ランキング」

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャ─ナリスト。建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。

東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、 『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、 『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。


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