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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2013年3月5日

第96回春のペア作戦第1弾─東急不動産が「フラッグシップ物件」を連続投入

 東急不動産がマンションブランド「BRANZ(ブランズ)」を再構築。新しいコンセプトを「人生を極める住まい」とした。

 B─Bloom─「感性を花開くデザイン」

 R─Revolute─「革新を志す品質」

 A─Achieve─「個性と共生を輝かせるサポート」

 N─Neologize─「比類なき住まいへの挑戦」

 Z─Z─「究極への証」

 その浸透ぶりを推し量るかのように、3月に、長期優良住宅の認定を受けた、「フラッグシップ物件」を連続投入する。

 まず、東京都港区麻布狸穴町に建設中の「ブランズ麻布狸穴町」である。建物は10層(地上8階・地下2階)、総戸数140戸(うち分譲90戸)で、専有面積は約40~138平方メートル。予定販売価額は5100万円~2億5000万円で、予定最多価額帯は8900万円台になる。

 「ブランズ麻布狸穴町」には4つの特徴がある。

 1番目は、斜面を考慮した「立体設計」になっていること。

 2番目は、劣化対策、耐震性、維持管理・更新容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性、居住環境、住戸面積、維持保全計画の9項目にわたって認定を受けた「長期優良住宅」であること。東急不動産としては、「ブランズ青葉台二丁目」に次ぐ認定物件になった。

 3番目は、防災への配慮。建築基準法が定める震度6?7程度の地震力の1.25倍の力に対して倒壊しない、「耐震等級2」を確保した。

 4番目は、環境への配慮。省エネルギー対策等級で最高ランクの「等級4」を取得。ほかに、住宅内のエネルギー使用量を見える化するHEMES機器「me-eco(ミエコ)」を導入し、敷地外周および屋上の緑化により二酸化炭素排出量を年間約26%削減する。

 次に、東京都千代田区四番町に建設中の「ブランズ四番町」である。建物は地上15階・地下1階、総戸数165戸(うち分譲133戸)で、専有面積は約61~約107平方メートル。平均坪単価は460万円台の見込み。

 北側の道路に面して、石積みの門柱と金属製の屋根を持つ重厚なゲートを配置。その先に、植栽を配しピンコロ石を敷いた長さ約60メートル、幅約18メートルのアプローチ空間が続く。小中規模のマンションが立ち並び、いわば「マンション銀座」の趣きが濃い地域の中でも、敷地をゲートと高さ2メートルのフェンスで囲み、モダンで落ち着いたデザインの住棟を配した「ブランズ四番町」には独特の存在感がある。

 こちらも「長期優良住宅」であり、東急不動産としては3棟目になる。


 「ブランズ四番町」のゲート

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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