2000年4月1日、不動産大手7社が「Ｙａｈｏｏ！ＪＡＰＡＮ」に「マンション情報ステーション」を開設。ネーミングを「メジャーセブン」とした。参加したのは、住友不動産、大京、東急不動産、藤和不動産、野村不動産、三井不動産、三菱地所である。

　当時、不動産のポータルサイト争いでは、「Ｙａｈｏｏ！」とリクルートの「ｉｓｉｚｅ」（現、ｓｕｕｍｏ）の2強がしのぎを削っていた。不動産大手7社が「Ｙａｈｏｏ！」を選択したのは、リクルートの1社独占を許したくないとする、意思表示の現れだった。

　それからすぐに、「メジャーセブン」に東京建物が参加。「メジャー7」なのに、「大手8社」が参加する、ネーミングのミスマッチ時代が続いた。

　しかし、2011年1月、三菱地所の100％子会社になっていた藤和不動産と、三菱地所および三菱地所リアルエステートサービスの住宅事業部門が統合。新たに「三菱地所レジデンス」が誕生した。

　その結果、「メジャーセブン」の会員は、ネーミング通りに大手7社になった。住友不動産、大京、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンスである。

　ここまでなら、原稿のタイトルを、「メジャーセブンの"不思議な"先見性」とでも付けた方がいい。なにしろ、誰もが予想し得ない、不思議なプロセスをたどって、看板通りに7社体制に落ち着いたのだから。

　それなのに、タイトルをなぜ、「メジャーセブンを叱る」としたのか。理由は極めて簡単。大手7社が分譲マンションの情報伝達に関して、「イロハのイ」を守っていないからだ。

　「メジャーセブン」のウェブサイトに掲載されている「物件詳細」に、設計者名と施工者名が記載されているかどうかを調べてみた。掲載されていれば「○」、いなければ「×」である。

　(1) 住友不動産──設計者名×　施工者名○

　(2) 大京──設計者名×　施工者名○

　(3) 東急不動産──設計者名×　施工者名○

　(4) 東京建物──設計者名×　施工者名×

　(5) 野村不動産──設計者名×　施工者名○

　(6) 三井不動産レジデンシャル──設計者名×　施工者名×

　(7) 三菱地所レジデンス──設計者名×　施工者名×

　驚くことに、設計者名の記載はゼロ社である。また、施工者名の記載は4社にとどまる。東京建物、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンスは、設計者名、施工者名ともに見当たらない。「・・・」(あ然として、言葉が出てこない)。

　それでは、各物件の「公式ＨＰ」の「概要」はどうだろうか。

　(1) 住友不動産──設計者名○　施工者名○

　(2) 大京──設計者名○　施工者名○

　(3) 東急不動産──設計者名×　施工者名○

　(4) 東京建物──設計者名○　施工者名○

　(5) 野村不動産──設計者名×　施工者名○

　(6) 三井不動産レジデンシャル──設計者名×　施工者名○

　(7) 三菱地所レジデンス──設計者名×　施工者名○

　施工者名は全社が記載しているものの、情けないことに、設計者名の記載は3社にとどまっている。

　そもそも、「メジャーセブン」とは、会社名およびブランド名に誇りを持つ7社が参加した「組織」である。誇り高き7社が、「設計者名と施工者名を記載するのを忘れました」で済むのだろうか。

　また、「メジャーセブン」は製造と販売の一体化、すなわち「製販一体」をスローガンに掲げている。その「製造」を支えてくれるのは、建築設計事務所であり、また建設会社ではないのか。

　分譲主（不動産会社）、設計者（建築設計事務所）、施工者（建設会社）の3者が懸命に仕事をしたとき、いいマンションが生まれる。少なくとも、不動産大手7社には、設計者名と施工者名に敬意を払ってもらいたい。

　この原稿が掲載されてから1～2ヵ月経ったころ、「メジャーセブン」の「物件詳細」と、各物件の「公式ＨＰ」の「概要」を改めて調べてみたいと思う。

　(追)　

　自分も、「小言幸兵衛」の年代に突入したか、と思いつつ、原稿を記す。