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2013年4月9日

第99回「ブリリアタワー池袋」─1 異色の記者発表会

 東京建物などが主催して、先頃、「南池袋二丁目A地区再開発事業」に関する、異色の記者発表会が開催された。

 これは、かつて区立日出小学校などが建っていた約8300m2の土地を、東京都豊島区、地権者、マンション事業者(東京建物、首都圏不燃建築公社)が共同で再開発。1─2階を商業施設、3─9階を新庁舎、10階を中間免震装置、11─49階をマンションとして使うプロジェクトである。

 このうち、豊島区新庁舎を含む下層階は「としまエコミューゼタウン」、上層階のタワーマンションは「ブリリアタワー池袋」と呼ばれる。

 記者発表会は、第1部が「建物名称の決定」をテーマに大成建設の現場事務所で行われ、第2部が「ブリリアタワー池袋プロジェクト発表会」をテーマに現場近くのゲストサロンで行われた。

 「異色」とする理由は、第1部が「建築専門メディア」、第2部が「住宅不動産専門メディア」を主対象としたこと。日経アーキテクチュア、建設通信新聞、日刊建設工業新聞などの「建築メディア」と、日経不動産マーケット情報、住宅新報、週刊住宅などの「住宅不動産メディア」は、近いようで遠い関係にあるため、取材を共にする機会は少ない。

 「異色」とするもうひとつの理由は、設計を担当した日本設計社長の六鹿正治氏と、デザイン監修を担当した建築家で東京大学教授の隈研吾氏が、第2部で、建物の設計コンセプトを長い時間をかけて丁寧に説明したこと。マンションの記者発表に、建築家が主役として登場するケースは極めて珍しい。

 プロジェクトの最大の売りは、「最新エコ技術と天然の緑をミックスさせた世界最先端のエコ建築」。建物の下層階は、「エコヴェール」と名づけられたエコ機能を持つパネルと、「エコミューゼ」と呼ばれるひな壇状の緑に覆われる。

 エコパネルには、次のような種類がある。

 (1) 発電を行う太陽光パネルとソーラーガラス。

 (2) 緑を育てる壁面緑化パネル。

 (3) 直射日光を避け木漏れ日を感じさせる木目調ルーバー。

 (4) 雨風を防ぎ天候とともに表情を変える透明ガラスとカラーガラス。

 なお、このうち(1)と(4)はマンションでも採用される。

 ひな壇状の庭園は、10階の「屋上庭園」から8階・6階・4階に設けられる「緑のテラス」を経由して、専用の階段で地上まで降りられる方式。

 2015年3月に、この「樹木をイメージした建物」(隈氏)が完成すれば、海外からの来訪者も含めて、大勢の見学者を集めると予想される。また、高野之夫豊島区長は、「建物を文化環境都市のシンボルにしたい」と意気込んでいる。

 注目の「ブリリアタワー池袋」を、本回も含めて3回シリーズで取り上げる。

 【概要】

 所在地─東京都豊島区南池袋二丁目

 交通─東京メトロ有楽町線「東池袋」駅徒歩1分

    JR線「池袋」駅より徒歩8分

 総戸数─432戸(内非分譲住戸110戸)

 住戸専有面積─70m2台~80m2台が中心

 予定価格─7000万台~8000万台が中心

 デザイン監修─隈研吾建築都市設計事務所

 設計・監理─日本設計

 施工─大成建設

 建物竣工予定日─平成27年2月下旬

 モデルルーム─平成25年4月13日(土) オープン

 第1期販売──平成25年5月下旬の予定

 建物外観


 配置図


細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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