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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2013年6月25日

第107回中央区の月島・勝どき周辺で津波浸水(南海トラフ巨大地震に伴う被害想定1)

 南海トラフ巨大地震に伴う被害想定のうち、今回は津波の問題に焦点を合わせる。都区部に関しては、水門が閉鎖されている場合と、水門が開放されている場合の2ケースについて、最大津波高と最大浸水分付図が示された(図は、東京都防災ホームページ「南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定」から抽出)。

 【水門が閉鎖されている場合】

 東京湾の最大津波高は江東区で2.48mに達する。次いで中央区2.46m、品川区2.44m、港区2.40m、大田区2.37mと続く。ただし、堤防内への浸水は見られず、堤防外にある河川敷の一部に浸水する程度に留まる。


 【水門が開放されている場合】

 最大津波高は品川区で2.34mに留まるなど、水門が閉鎖されている場合に比べると津波高は低くなる。注意しなければならないのは、堤防や護岸が低い個所から浸水が発生すること。


 浸水が発生するのは、江東区のうち都営新宿線に沿った菊川・猿江・毛利の周辺、中央区の月島・勝どきの周辺、浜離宮公園の一帯、大田区の大森南の周辺など。最大浸水深さは1m未満ではあるが、建物が浸水した場合には、地下階に流れ落ちて、電気設備や地下駐車場の設備がダメージを受ける恐れもある。

 なお、最大浸水深さが1m未満の場合には、自力脱出が可能と見なされて、救助対象にはならない。


細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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