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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2020年11月17日

第364回 日鉄興和不など5社が「コロナ期における職住融合の規範」を目指した大規模マンション

 日鉄興和不動産、JR西日本不動産開発、東急不動産、小田急不動産、相鉄不動産の5社は、コロナ期における「職住融合のニューノーマル(新たな規範)」になることを目指した大規模マンション、「セントガーデン海老名」の第1期販売を、2020年12月上旬に開始することになりました。

 所在地は神奈川県海老名市泉2丁目。JR相模線「海老名」駅から徒歩5分、小田急小田原線・相鉄本線「海老名」駅から徒歩8分です。マンションは15階建て。総戸数はⅠ街区500戸、Ⅱ街区500戸、全体で1000戸になります。


「セントガーデン海老名」の案内図。
図には「1000DREAM PROJECT」と記されている。

 それに先駆けて、日鉄興和不動産は2020年8月に、「セントガーデン海老名のモデルルーム・オープン」を伝えるニュースリリースを公表しています。

 その中では「セントガーデン海老名」ではなく、『センドリームプロジェクト』という名前を使用していました。それは、「次のような発想」に基づいていると思われます。

「総戸数1000戸の夢を抱えたプロジェクト」
  →「1000(セン)戸の夢(ドリーム)を抱えたプロジェクト」
  →「センドリームプロジェクト」

【■■】5社JVになった事情

 日鉄興和不動産にプラスして、「JR西日本不動産開発、東急不動産、小田急不動産、相鉄不動産」の4社が売主になったのは、次のような事情かと思われます。

 ◆小田急小田原線・相鉄本線「海老名」駅に近い
  →「小田急不動産」と「相鉄不動産」が参加

 ◆JR相模線「海老名」駅に近い
  →このJR相模線はJR東日本の鉄道路線の一部
  →しかしJR東日本都市開発という会社はあっても、JR東日本不動産開発という会社はない
  →そのため代わりに、「JR西日本不動産開発」が参加した?

 ◆神奈川県海老名市からのアクセス
  → 横浜市や東京・渋谷に行く場合、東急電鉄を利用する機会も多い
  →そのため「東急不動産」が参加した?

【■■】事業主による「最近の社会事情」の分析

 事業主は、「セントガーデン海老名」の設計を進めるに際して、「最近の社会事情」を次のように分析しています。

 ⓐ「働き方」および「家族の在り方」が多様化している。

 ⓑ「住まい探しの際の優先順位」を見ると、「職場へのアクセス」「職場への距離の近さ」の順位が低くなっている。

 ⓒ新型コロナの影響によって、「テレワーク・在宅ワーク」が推進されている。

 ⓓ家選びの傾向として、「自宅での時間を快適に過ごすことができる広さ」「周囲の自然などの環境」を重視するようになっている。

【■■】「セントガーデン海老名」の特徴①〜③

 その上で、事業主が「コロナ期における、職住融合のニューノーマル(新たな規範)」になることを目指した、「セントガーデン海老名」の具体的な特徴を列挙してみましょう。

 ◆①個性的な「エントランスホール」、「マルチラウンジ」、「ファミリーラウンジ」

 壁面が情報スクリーンとなる「エントランスホール」、ワークスペースや寛ぎの空間として利用できる「マルチラウンジ」、子どもたちが学び・遊び・交流することを目的とする「ファミリーラウンジ」などを用意。


マルチラウンジの様子。

 ◆②在宅ワークを支える超高速インターネット回線「NURO光connect」を導入

 共用空間である「エントランスホール」や「マルチラウンジ」はもちろん、専有部でもインターネットの軽快なアクセスが可能。

 ◆③1万8000平方メートル超の敷地に、豊かな緑に出会える10のガーデンを配置

 木々に迎えられる敷地入口の「ゲートアベニュー」、居住者や地域の人々の散歩や遊び場となる約3000平方メートルの「提供公園」など、敷地内に10のガーデンを配置。また提供公園では、イベントの開催も予定。


「提供公園」の様子。

【■■】「セントガーデン海老名」の特徴④〜⑥

 ◆④在宅ワークや趣味のスペースに対応した「モアトリエ」「ウゴクロ」「ウォールドア」

 「モアトリエ」は、住戸の中に用意した「隠れ家」のような空間を意味。「テレワーク」に利用したり、「趣味・家事・勉強」に利用できる。

 「ウゴクロ」は「可動間仕切り収納(クローゼット)」を意味。2組の収納ユニットを動かすことで、空間の大きさを変えられる仕組みになっていて、「在宅ワーク」や「趣味の専用スペース」として利用できる。

 「ウォールドア」は、ライフスタイルの変化や好みに合わせて、間取りを変更するために移動可能な、いわば「動くドア」を意味。このドアによって、「求めている空間」を簡単に用意できる。

 ◆⑤ランニングコスト削減のため、各種「サブスクリプションサービス」を導入

 「サブスクリプションサービス」とは、「定額料金を支払うことで、一定期間のサービスが受けられることを保証するサービス」を意味。

 「サブスクライフ」は、カーシェアリングや家電・家具が対象。

 「トイサブ」は、子どもの成長に合わせて、オモチャや知育玩具を定期的に届ける。

 ◆⑥多様な間取りでライフスタイルをサポート

 シングル、ディンクス、子育てしたい家族まで、家族構成やライフスタイルに合わせて選べるよう、2LDK・58平方メートル〜4LDK・85平方メートルまで、21タイプのプランを用意。

【■■】住戸の販売予定価格

 「セントガーデン海老名Ⅰ街区」の第1期販売予定価格
  2LDK(58.83平方メートルから)─3200万円台から。
  3LDK(68.44平方メートルから)─3600万円台から。
  4LDK(75.51平方メートルから)─4300万円台から。

  「セントガーデン海老名」公式ウェブサイトのURL
  <https://ebina1000.nskre.jp>


細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャ─ナリスト。建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。

東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、 『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、 『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。


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