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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2022年3月22日

第396回 注目の「マンション管理適正化法」が4月から施行

 改正「マンション管理適正化法」が2022年4月から施行され、同時に「マンション管理適正評価制度」がスタートすることになりました。

 この制度に関して色々と調べた結果、私にとって最も分かりやすかったのは、「ライフル・ホームズ・プレス」に掲載された椎名前太氏の記事、「マンション管理適正評価制度とは。マンションの管理状態を点数化する新制度」でした。

[■■] マンション管理適正評価制度とは(椎名氏の記事を引用)

 マンション管理適正評価制度は、専門家が定期的にマンションの管理状態を評価し、その結果に応じたインセンティブ(報酬)が得られる仕組みです。

◆評価方法は次のような流れになる予定です。

 ①評価依頼
マンション管理組合から、マンション管理会社へ、マンションの評価を依頼する。

 ②管理状態をチェック
管理会社が登録システムを利用し、評価シートの作成を行う。

 ③登録申請
管理会社の認定マンション管理士(仮称)、または認定管理業務主任者(仮称)が、評価結果の登録を依頼する。

 ④審査・仮評価
一般社団法人「マンション管理業協会」が、審査と仮評価を行う。

 ⑤本登録
マンション管理業協会が、評価結果を「物件管理情報システム」に登録する。

 ⑥登録証発行
マンション管理業協会から、管理組合へ評価結果を通知する。

◆高評価でも低評価でも得るものはある
 制度の開始を前に、マンション管理業協会は等級評価の仮評価を実施、公表した。有効数6万3969棟のうち、「5段階評価で最も高いS評価」は、6714棟と全体の1割だったという。次いで「A評価」が最も多く3万4921棟、「最低評価のD評価」は303棟となった。

 記事のURL<https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_01238/>

[■■] 国土交通省「マンション管理適正化法の改正概要」

 ここには多数の図表が掲載されているため、ビジュアルで分かりやすいのが利点です。
 URL<https://www.mlit.go.jp/common/001356471.pdf>

[■■] 日本マンション学会誌「マンション学70号 2021年12月」

◆特集---マンションの価値は「管理」で決まる時代を迎えて
 マンション管理適正化法の改正と管理計画認定制度への対処法

◆趣旨説明(齊藤広子)

◆マンション管理適正化法改正の背景と概要(矢吹周平)

◆マンション管理適正化法改正を踏まえて、マンション管理の課題にどう応え、
 さらなる課題は何か(齊藤広子)

◆管理組合運営の実態からみた適正化法改正の意義(瀬下義浩)

◆マンション管理適正化法の改正に思う(篠原みち子)

◆マンション管理適正化法等およびマンション標準管理規約の改正と、
 今後のマンション行政・マンション法制の課題(鎌野邦樹)

◆マンション管理の適正化は管理組合・区分所有者だけの努力で実現できるか
 もう1つの管理適正化推進計画(折田泰宏)

◆区分所有建物における所有者不明の問題を踏まえたさらなる施策の必要性
 特に区分所有法改正により手当すべき問題点(佐藤 元)

◆管理適正評価・認定制度と高齢者・障害者対応マニュアルの指針 (角田光隆)

◆管理適正・不適正マンションに対する自治体の取り組み (藤本佳子)

◆マンション管理適正評価制度とマンション管理業協会の取組み (高松 茂)

◆管理計画認定制度におけるマンション管理士会の取組み、
 およびマンション 管理士の役割-マンション管理適正化診断サービスについて(佐藤 優 )

◆マンション管理評価事業の実装とそこから導かれた課題と期待 (大島祥子)

◆改正マンション管理適正化法は中古市場を活性化させるか (大久保恭子)

◆長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン・高経年マンションの再生 ( 藤木亮介)

◆「管理計画認定制度は市場に影響を与えるのか」についての検討
 (花里俊廣・久保依子・田中昌樹・菅野優樹・李日笋)

◆マンションの良好な管理の定着のために -フランスの荒廃マンションへの取組みを踏まえて(寺尾 仁 )

◆マンション管理を評価するしくみで「限界マンション」はなくなるか (米山秀隆)

 私は日本マンション学会の会員なので、「マンション学70号 2021年12月号」を一読した。そして、「可能なら ウェブサイトで、一般にも開放した方がいい」と感じました。

 しかし、2022年4月に学会のウェブサイトにアクセスしてみたが、「マンション学70号 2021年12月号」の内容は掲載されていない。なんだか、「肩透かし」をくらったような気持ちになりました。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャ─ナリスト。建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。

東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、 『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、 『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。


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