リアナビ

スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2015年6月2日

第177回5大経済誌でマンション特集が好きな雑誌

 経済誌の発行部数は日本ABC協会や日本雑誌協会が公表する。データの信頼度が最も高いのはABC協会で、次が雑誌協会の順。2つのソースを総合すると、現在の経済誌発行部数ランキングは次のようになる。

 1位。プレジデント(月2回)─36万6000部

 2位。日経ビジネス(週刊)─21万9000部

 3位。週刊ダイヤモンド─13万4000部

 4位。週刊東洋経済─9万7000部

 5位。週刊エコノミスト─8万部。

 2013年以降のバックナンバーを調べると、5大経済誌とマンション・不動産の特集には、少し奇妙な傾向がある。

 プレジデント(月2回)─1回

 日経ビジネス(週刊)─1回

 週刊ダイヤモンド─4回

 週刊東洋経済─6回

 週刊エコノミスト─2回。

 発行部数が上位のプレジデントと日経ビジネス、および最下位のエコノミストは、明らかにマンション・不動産特集が少ない。その一方で発行部数が10万部前後のダイヤモンドは4回、東洋経済は6回と特集の回数が多い。

 一般誌と違って、経済誌はその売れ行きが落ちてしまうと、「経済誌なのにうまく経営できないとは何事か」と批判を浴びやすい。そのために、特集が読まれたかどうかをアンケート調査して、読まれなかった特集は「読者ニーズが低い」と判断して、採用を見送る傾向がある。つまり、プレジデント、日経ビジネス、エコノミストの3誌では、「読者の関心が低いため」あるいは「編集部には向かない」と判断されてマンション特集が少ないのかもしれない。

 さて、各雑誌ごとに、最新の特集号を紹介する。

 「プレジデント」2013年4月14日号

  土地・マンション おトク大図鑑──

  子育て、投資、老後の安心……全世代必読

  今が空前の買い時、7つの証拠

 「日経ビジネス」2013年6月10日号

  沸騰・不動産 次の景気──

  アベノミクスで買うべき場所

  始まった不動産争奪戦 金持ちも庶民も走る

  徹底分析 アベノミクスで上がる場所下がる場所

  バブルはまた起きるのか 日本買い漁る海外勢

  異次元緩和がもたらす歪み

 「週刊ダイヤモンド」2015年3月7日号

  高く売れる家、売れない家──

  序章─家を売りたい

  第1章─不動産が「負」動産に 中古住宅暴落の危機

  第2章─家は今が売り時!? バブル期並みに高騰中

  第3章─業界のカラクリを知って家を高く売ろう!!

 「週刊東洋経済」2015年5月23日号

  不動産・マンションバブルが来る!?──

  再開発ラッシュの東京 新規プロジェクトが続々

  Part1─都心再開発バブル

  Part2─マンション異次元価格

 「週刊エコノミスト」2015年5月14日号

  資産インフレでどうなる 不動産と相続──

  第1部 バブル来る? 来ない? 

  第2部 知って得する相続ノウハウ8

 5大経済誌のマンション・不動産特集の発行ペースおよびその内容を比較すると、マンション業界関係者にとって、必ず目を通しておかなければならない必読誌は、切り口が面白い週刊ダイヤモンドと週刊東洋経済の2誌と思われる。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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