昨２０１８年の１１月以降、大手不動産各社から、「海外で大型の開発事業を手がけている」という趣旨のニュースリリース（プレスリリース）が、相次いで送られてきた。三井不動産から２回、野村不動産から２回、三菱地所から１回、東急不動産から１回・・・。

　私は長い間、ジャーナリストとして活動しているが、海外事業に関する「ニュースリリースのラッシュ」は初めて経験する。

　数年前から、「東京オリンピックが開催される２０２０年前後に、国内の不動産ブームは終わる」、という予測があった。それを前提にして、海外事業にシフトし始めているのだろうか？

■■■今まで見たことのない「景色」

　「情報を仕入れなくては」と考えて、大手不動産各社のウェブサイトにアクセスしてみた。すると、今まで見たことのない「景色」が目に入ってきた。

　三井不動産のウェブサイトのトップページに、「企業・グループ情報」「ニュースリリース」「事業内容」などと並んで、「グローバルでの取り組み」という項目が新設されていたのである。

「グローバルでの取り組み」をクリックすると、次のようなメッセージが掲載されていた──。

　三井不動産グループは、１９７２年以来、欧米の主要都市におけるビル事業やハワイでのホテル事業など、世界各地でさまざまな事業を展開してきました。今後は欧米における優良なポートフォリオの構築や、成長性が高いアジアでの開発事業を推進し、三井不動産グループの活動エリアを世界中へ拡げていきます。

　念のために、「メジャーセブン」と称される三井不、三菱不、住友不、野村不、東急不、東京建物、大京という７社のウェブサイトを、チェックしてみた。

「グローバルでの取り組み」という項目がある──三井不、三菱不、野村不
「海外事業」という項目がある──東急不
「トップページ」には見当たらない──住友不、東京建物、大京

　じっくり見比べると、このうち「グローバル」「海外」という項目がある４社が、２０１８年の秋に「海外で大型の開発事業を手がけている」という趣旨のニュースリリースを送ってきたことになる。すなわち、「名は体を現す」という、ことわざ通りだったのである。

■■■プレスリリースの「新しい様式」

　ウェブサイトの「景色」に加えて、もう１つの「景色」も紹介しておく。

　２０１８年１２月に、野村不動産ホールディングスから送られてきた、プレスリリースの「新しい様式」である。「グローバルへの取り組み」という項目があり、そこにダイダイ色が塗られている。

　こういう「景色」からも、各社の意欲が伝わって来るような気がする。

　以下、「海外の開発事業」についてのニュースリリースの内容を、グラビア的に紹介する。

■■■三菱地所レジデンス（オーストラリア・シドニー）

　マンション開発事業「Mastery（マステリー）」
　総戸数３７４戸、２０２０年〜２１年に竣工

Ｃ棟（１４４戸）の外観パース

■■■三井不動産（英国ロンドン）

「テレビジョンセンター再開発計画（第１期）」、２０１８年１１月竣工
　オフィス、分譲住宅（４３２戸）、ホテル＆クラブ

「The Helios」（分譲住宅１６２戸、リノベーション）

■■■野村不動産（フィリピン・マニラ）

　大型複合開発プロジェクト「ザ・シーズンズレジデンス」
　住宅（約１４００戸）および商業施設、２０２７年全体竣工予定　

外観パース

■■■野村不動産（タイ・バンコク）

分譲住宅プロジェクト「PARK Origin Thonglor」　
住宅（約１２００戸）、２０２１年１２月竣工予定　

外観パース

■■■三井不動産（中国・江蘇省蘇州市）

分譲住宅プロジェクト「明月蘭庭」　
住宅（９４１戸）、２０２１年竣工予定　

外観パース

■■■東急電鉄、三菱地所レジデンスなど（ベトナム・ビンズン省）

マンションプロジェクト「SORA gardens Ⅱ」　　
分譲マンション（約５６０戸）および商業施設、２０２１年夏竣工予定　

外観パース