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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2020年5月12日

第351回 新型コロナで注目されるイタンジの最新型「テレワーク管理」とは

 新型コロナ問題の発生によって注目されている、「賃貸不動産物件のテレワーク管理」の最新動向に焦点を合わせることにしたい。

 テレワークとは「tele(離れた場所)」と「work(働く)」を合わせた造語で、パソコンなどの情報通信機器を活用して、時間や場所の制約を受けずに柔軟に働く方法をいう。そして働く場所によって、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、モバイルワーク(移動型)、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務)などに分けられる。

 今回は「イタンジ株式会社」による、最新型「テレワーク管理」の試みを取りあげることにしたい。同社は不動産業務を中心にしたIT活用コンサルタントで、「東京都港区六本木、住友不動産六本⽊グランドタワー40階」にオフィスを構えている。

 そして、新型コロナ問題が発生して以降、「テレワーク管理に関するプレスリリース」を積極的に発表し続けている。ここでは4月30日までに発表された各種リリースのうち、賃貸不動産物件に関係するリリース4本の要点を紹介する。

【■■■2月4日─全宅管理とイタンジが、賃貸不動産管理サービスで業務提携】

 これは、一般社団法人「全国賃貸不動産管理業協会(全宅管理)」とイタンジ株式会社が、 賃貸不動産管理の業務を標準化する目的で提携。全宅管理の会員約6200社に対し、イタンジが賃貸不動産リーシング業務のワンストップサービス 「Cloud ChintAI(クラウドチンタイ)」を提供するという内容である。

ここでいう賃貸不動産管理とは、「入居者募集から家賃集金、クレーム対応、修理手配、敷金精算、退室後のリフォーム」などの業務を意味する。

そして全宅管理の会員であれば、一定の要件のもと、「内見予約くん」と「申込受付くん」の無料利用が可能になる。


 上の図に示した「内見予約くん」は、「内見予約WEB受付システム」を通じて、予約の受付や鍵情報の照会を行う。これは不動産管理会社および仲介会社にとっては、業務効率化につながる。また、入居希望者にとっては、利便性が向上する。


 上の図に示した「申込受付くん」は、賃貸物件の入居申し込みに関わる手続きをデジタル化することによって、入居までの時間と手間を大幅に削減する。

【■■■4月9日─不動産業界における新型コロナの影響と、テレワークに関するアンケート結果を発表】

 アンケートの対象は、イタンジが実施した「テレワークセミナー」の参加者170名。

 ◇質問「新型コロナウイルスによる業務への影響を感じていますか?
     回答者の83%が「影響がある」と回答。

 ◇質問「新型コロナウイルスは業務のどの部分への影響があると感じていますか?」
     回答の骨子は下の図にまとめた。


 ◇質問「テレワークの準備状況について教えてください」
     回答は下の図にまとめた。


 ◇質問「テレワークで賃貸仲介業務の不安な部分を教えてください」
     回答は下の図にまとめた。


 ◇質問「各種ツールの利用意向を教えてください」
     回答は下の図にまとめた。


【■■■4月17日─管理支援クラウドシステムの4機能を無償提供】

 イタンジは、社会貢献(働き方改革、新型コロナ感染症予防)の観点から、管理支援クラウドシステムの4機能を無償提供すると公表した。

◇無償提供の概要
 ①賃貸仲介向け顧客管理システム「ノマドクラウド」の新機能「ビデオ通話」
  (通話時間1000分まで)
 ②内見予約WEB受付システム「内見予約くん」
 ③不動産関連WEB申し込み受付システム「申込受付くん」
 ④不動産関連電子契約システム「電子契約くん」
  (駐車場電子契約100件まで)


◇提供の条件  対象は2020年5月末までに新規導入を申し込んだ企業(半年間無償提供)。

【■■■4月28日─在宅勤務中に会社への電話・FAXを受けられる「電話FAXくん」販売】

 イタンジは、在宅勤務中に会社への電話・FAXを受けられる、「電話FAXくん」の販売について公表した。

◇「電話FAXくん」の特徴
 ①どこにいても電話/FAX対応が可能
 ②最大10名まで同時に受電が可能
 ③賃貸仲介における物件確認電話の自動応答システム「ぶっかくん」と連携可能


 不動産事業者は今、新型コロナに対応するため、「できけばテレワークを行いたい。しかし、代表電話の受電をしたり、各種書類のFAXを受信をしたりする必要があるため、会社に行かなくてはならない」、という課題を抱えている。

「電話FAXくん」は、その課題を解決するために販売される。なお価格は、管理する戸数によって違ってくる。

【■■■先が見通しにくい「長期戦」に対する備え】

 さて、4月7日に「東京・大阪など7都府県」に新型コロナウィルスに対する「緊急事態宣言」が発令され、さらに4月16日に緊急事態宣言の対象が「全国47都道府県」に広がった。続いて、国内感染者が1万5000人を超えた5月4日に、緊急事態宣言は5月31日まで延長されることになった。

 先が見通しにくい「長期戦」に備える意味でも、賃貸不動産リーシングおよび賃貸不動産管理を効率化する、テレワークについて真剣に検討する必要があると思われる。

 念のために、イタンジのURLを紹介しておこう。
 <https://www.itandi.co.jp/>

 このウェブサイトを見ると、同社の活動が4月27日には「日本経済新聞」、5月7日には「全国賃貸住宅新聞・健美家・週刊住宅」などのメディアに取りあげられていることが分かる。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャ─ナリスト。建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。

東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、 『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、 『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。


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