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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2013年4月16日

第100回「ブリリアタワー池袋」─2 総合耐震計画基準「Ⅰ類」という強度

 東京・南池袋に建設中の豊島区新庁舎「としまエコミューゼタウン」には、49階建ての超高層マンション「ブリリアタワー池袋」が合築される。すなわち、ブリリアタワー池袋は、日本初の本庁舎一体型超高層マンションになる。

 国土交通省の「官庁施設の総合耐震計画基準」は、建物を3種類に分けている。

 Ⅰ類─本庁舎、警察署、消防署

 「大地震が起きた後でも、構造体の補修をすることなく建築物を使用できることを目標とし、人命の安全確保に加えて、十分な機能確保が図られるものとする」

 Ⅱ類─一般庁舎、病院、学校

 「大地震が起きた後でも、構造体の大きな補修をすることなく建築物を使用できることを目標とし、人命の安全確保に加えて、機能確保が図られるものとする」

 Ⅲ類─共同住宅、宿舎

 「大地震により、構造体の部分的な損傷は生じるが、建築物全体の耐力の低下は著しくないことを目標とし、人命の安全確保が図られるものとする」

 豊島区新庁舎とブリリアタワー池袋はともに基準Ⅰ類を満たし、かつ免震構造であるため揺れが少ない。さらに、非常時には豊島区災害対策センターが立ち上がるのも心強い。

 ほかに、72時間稼動する非常用発電機を装備。災非常用エレベーター1台および普通エレベーター3台、共用廊下の照明、共用部コンセント(1フロア2個所)、給水ポンプに電気を供給する。給水ポンプが動くので、キッチン、洗面、ユニットバス、トイレ洗浄水を使用できるのは大きい。

 住宅性能表示制度と比較する。

 Ⅰ類─「耐震等級3」+「十分な機能確保」

 Ⅱ類─「耐震等級2」+「機能確保」

 Ⅲ類─「耐震等級1」

 このように、ブリリアタワー池袋の耐震性は、極めて高い。

 【資料請求状況】

 居住地─豊島区35%、隣接区(文京区、練馬区、板橋区)20%、都内全域、埼玉県、他県。有楽町沿線も多いが、副都心線相互乗り入れによる影響もある。

 年齢─40歳前後が過半数を占める。50歳以上のシニア層も40%いる。

 家族構成─2人家族が40%、3人や4人家族のファミリー層も40%。

 職業─会社員が過半数。会社役員や経営者は20%、医師は10%。

 評価ポイント─

 (1) 有楽町線「東池袋」駅徒歩1分、JR「池袋」駅徒歩8分の利便性。

 (2) 72時間稼動する非常用発電機による災害時対策、免震工法の採用、「官庁施設の総合安全耐震計画基準」でI類など、豊島区庁舎と一体であることの安心感。

 構造システム図。赤点は免震装置。


細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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