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「斜め45度」の視点

2015年10月6日

第189回「プラウドタワー名古屋栄」記者発表会の雰囲気

 野村不動産、NIPPO、三菱地所レジデンスの3社が、名古屋市中区栄1丁目に建設している「プラウドタワー名古屋栄」の記者発表会に参加した。最寄りの地下鉄東山線・鶴舞線「伏見駅」から徒歩で6分の距離になる。

 総戸数347戸、地上29階、制震構造。しかも「納谷橋東第一種市街地再開発事業」に伴う敷地が1万平米超の大規模複合開発で、タワーマンションを中心に、スーパー、銀行、クリニック、専門店、カフェ、レストランで構成されるコンパクトシティである。

 プラウドとして名古屋では最大級の物件にもかかわらず、都市の規模を反映して、参加した記者は東京で行われる記者発表会の6~7割程度の感じだったが、全国紙や地元紙の記者を中心に多くの質問が出た。

 国土交通省が公表した今年の基準地価では、名古屋駅近くの商業地が坪当たり909万円を記録して、上昇率45・7%で全国1位に躍り出た。その熱気を反映して、記者発表でも「プラウドタワー名古屋栄」の立地のよさが徹底的に強調された。

 販売のコンセプトは「都心中心地」「都心居住」である。まず名古屋のビジネスとアクセス(交通)拠点の名古屋駅から1キロ圏にあり、タクシーでは初乗り料金の480円に収まる。また商業拠点の栄駅から1・5キロ圏にあり、タクシー料金は560円で済む。北には名古屋城、南には白川公園。名古屋駅と栄に身近な、まさに都心の中心地である。しかも、東西の大動脈になっている「広小路通」に接し、西は「堀川」に臨む都心唯一のウォーターフロントでもある。

 「都心に住むという考え方は、名古屋にはかってなかった発想。それに応えるのが商・医・職・住というコンパクトシティ。そこに住む人々が求めるのは生まれ変わる名古屋の未来……」。野村不動産執行役員名古屋支店長の水野克明氏を初めとする、4名の登壇者はずいぶん気合いが入っていた。

 資料請求は約5カ月間で当初想定の3倍以上となる3500件超で、事前情報説明会への申込は400件超と好調に推移している。想定購入者のプロフィルをまとめておこう。

一 岐阜県・三重県・春日井市・小牧市・岡崎市・豊田市などの戸建てに住む50代~70代の層が、「老後の住まい」として購入を計画する。

二 名古屋に住む単身者や共働きディンクス層が、職住接近の「便利で時間的ゆとりを享受」する。

三 名古屋に立つタワーマンション居住者が、投資・セカンドハウスを目指して「最新タワー」に住み替える。

 第1期販売は11月上旬の予定で、価格は3000万円台~2億円超、平均坪単価は280万円前後になる。

 最後に注文をひとつ。記者発表の席に、マンション自体の内容を知る手がかりになる図面集(平面図・立面図・断面図)、および間取り図が用意されていなかった点は正直いって物足りなかった。野村不動産としてこういうケースは珍しい。

 (写真は堀川側から見た全景)

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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