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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2014年2月25日

第131回三井不レジが長谷工を起用したことに関する質疑応答

 三井不動産レジデンシャルが新たなライフスタイルを提案する都心向け集合住宅、「パークホームズ築地グリーンサイド」を販売する。

 ターゲットに据えたのは、「それぞれに自分の楽しみを持ちながら、共に過ごす時間も大切にする大人夫婦LOIAS」。住み替えに際しては、リビングの広さを重視する、キッチンの広さや設備にこだわる、夫婦は別寝室でかまわないと考える人たちで、世代的にはアクティブシニア層を中心に40代まで含まれる。




 記者発表に参加して感じたのは、徹底したマーケティングリサーチに基づく、商品コンセプトである。

 1月中旬に開かれた記者発表の席では、この種のデータが次々に提示された後に、この物件に採用された部分が赤線で示され、強い説得力を感じた。以前にも、こんな内容の記者発表に出た覚えがある。思い起こしてみると、都心型小世帯向けマンション「パークリュクス」のブランドを立ち上げたときで、2008年のことだった。

 今回の質疑応答ではいろいろな質問が出たが、会場が一瞬、静まり返る感じがしたのは、あるジャーナリストが設計・施工者の長谷工コーポレーションに触れたときだった。「三井は今まで長谷工を使ったことがありますか。今回はなぜ長谷工を使ったのですか。長谷工の仕様と三井の仕様は整合性があるのですか?」。

 けれども、三井不レジは紳士の会社なので、そつのない答が返ってきた。「長谷工さんを使ったことはある。今回は総合的な見地から長谷工さんに依頼した。どの建設会社に依頼する場合も同じだが、いつでも三井の仕様に従ってもらっている」。

 本コラムの128回目で「長谷工コーポレーションの立場」をテーマにしたばかりだが、記者発表の席で同じ感覚の質問を聞くことは予想していなかった。

 【物件概要】

 所在地─東京都中央区築地7丁目

 総戸数─140戸

 専有面積─53.25~73.94平方メートル

 構造・規模─鉄筋コンクリート造、地上12階建

 竣工時期─平成27年4月下旬

 入居時期─平成27年5月下旬

 設計・施工─長谷工コーポレーション

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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