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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2021年8月24日

第383回 国交省「不動産業のコロナ予防ガイドライン」の内容

 国土交通省は「不動産業における 新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を公開しています。その最新版(2021年5月21日版)を見ると、次のような構成になっていました。

 1.はじめに
 2.感染防止のための基本的な考え方
 3.講じるべき具体的な対策
 (1)感染予防対策の体制整備
 (2)健康の確保
 (3)勤務・通勤形態
 (4)事務所等における勤務
 (5)休憩・休息スペース
 (6)トイレ
 (7)設備・器具
 (8)従業員に対する感染防止策への啓発等
 (9)感染者が確認された場合の対応
 (10)事務所等における顧客との対応
 (11)取引物件の対象となる現場での対応

URL<https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001405750.pdf>

ざっと眼を通すと、国交省はお役所であるため、どうしても硬い表現が目立ちました。こういう時には、民間の出番かもしれません。

そう考えて、「一般社団法人・全国賃貸不動産管理業協会」のウェブサイトをチェックしてみました。すると柔らかい表現になっていたので、こちらを利用させてもらうことにしました。

URL<https://www.tokyo-takken.or.jp/system/App/Information/file2s/000/000/486/original/2感染予防ガイドライン要約版.pdf>

【■■】全国賃貸不動産管理業協会の表現

1−−はじめに
本資料は、新型コロナウイルス感染予防対策を行う際の基本的事項について参考とするために、国土交通省が整理したガイドラインを要約した物です。

2−−感染防止のための基本的な考え方について
密閉・密接・密集という「三つの密」により、クラスター感染発生リスクの高い状況を回避するために、最大限の対策を講じる必要があります。

3−−各局面において講じるべき具体的な対策等について

① 感染予防対策の体制整備
・経営トップが率先して、「対策の策定・変更」について検討する体制を整える。

② 健康の確保
・従業員に対し、出勤前に、体温や新型コロナウイルスへの感染を疑われる症状の有無を確認させる。
体調の思わしくない者には、各種休暇制度の取得を奨励する。
また、勤務中に体調が悪くなった従業員は、必要に応じ、直ちに自宅待機とする。

・自宅で療養することとなった従業員は毎日、健康状態を確認した上で、
症状がなくなり出社判断を行う際には、学会の指針等を参考にする。
症状に改善が見られない場合は、医療機関や保健所への相談を指示する

③ 勤務・通勤形態
・テレワークや時差出勤、ローテーション勤務、変形労働時間制、週休3日制等、
様々な勤務形態の検討を通じ、通勤頻度を減らし、公共交通機関の混雑緩和を図る。
・公共交通機関を使わずに通勤できる従業員には、 道路事情や駐車場の整備状況を踏まえ、
通勤災害の防止に留意しつつこれを承認する。

④ 事務所等における勤務
・できる限り2メートルを目安に一定の距離を保てるよう、人員配置の見直しを行う。
・始業時、休憩後等定期的な手洗いを徹底する。

・従業員に対し、勤務中のマスク等の着用を促す。
・仕切りのない対面の座席配置は避け、可能な限り対角に配置する、横並びにする等工夫する。

・建物や個別の作業場の定期的な換気に努める。
・外勤は公共交通機関の混雑時間帯を避ける等、人混みに近づかないようにする。

・外勤時や出張時には面会相手や時間、経路、訪問場所等を記録に残す。
・会議はオンラインで行うことも検討する。

・テレワークを行う場合、厚労省のガイドライン等を参照し作業環境の整備等に配慮する。
・事務所内に感染防止対策を示したポスター等を設置し、「三密」回避等の意識定着を図る。

⑤ 休憩・休息スペース
・共有するテーブルや椅子等は定期的に消毒する。
・使用する際は、入退室の前後の手洗いを徹底する。
・休憩・休息をとる場合には、一定数以上が同時に休憩スペースに入らない等の工夫を行う。
・食堂等で飲食する場合は、時間をずらす、椅子を 間引く等の工夫を図る。
・制約等により、これが困難な場合も対面で座らないようにする。

⑥ トイレ・設備・器具
・便器は不特定多数が使用する場合は清掃消毒する。
・トイレに蓋がある場合、蓋を閉めてから流す。
・ドアノブ、電気スイッチ、タブレット、手すり、コピー機、電話など共有設備は洗浄消毒を行う。
・ゴミは細目に回収する。ゴミの回収等清掃作業を行う従業員はマスクや手袋を着用し、
作業後の手洗いを徹底する。

⑦ 従業員に対する感染防止策の啓発等
・日常生活を含む行動変容を促す為、「人との接触を8割減らす10のポイント」等を周知する。
・患者、感染者、医療関係者等の人権に配慮する。
・発熱や味覚・嗅覚障害といった症状以外も含め、体調に思わしくない点がある場合、
各種休暇制度や在宅勤務の利用を奨励する。
・陽性と判断された者との濃厚接触がある場合等は自宅待機を指示する。

⑧ 感染者が確認された場合の対応
・従業員の感染が確認された場合、社内における所要の連絡を図り、
都道府県等の保健所等の指導に従い適切な措置を講じる。
・感染者の行動範囲を踏まえ勤務場所の消毒を行う。
・借用建物内で他社の社員の感染が確認された場合、保健所、医療機関および建物貸主の指示に従う。
(その他 保健所等との連絡体制を確立し、保健所の聞き取り等に必ず協力する。

⑨ 事務所等における顧客等との対応(各事業者の営業形態に合わせ適切な対応を図る)
・事務所や店舗への来店はできる限り予約制にし、少人数での来店・来場を依頼する。
・顧客との面談の日時・場所・相手方等を記録し、万一の感染の事態に備える。
・契約書や重要事項説明書の交付前に相手方に案内文等を事前送付し、説明時間の短縮を図る。
・媒介契約に関し当面は依頼者への報告は承諾を得た場合には、
契約書であらかじめ定めた方法以外の方法によることも可能とする。
・更新の申し出についても、双方の合意があれば、文書以外により申し出ることも可能とする。

⑩ 取引物件の対象となる現場での対応
・取引物件のある現場においても「三密」回避等の為、対象となる各現場ごとに適切な対応を図る。
・現地案内所等での各種の打合せ、食事等の際は一定の距離を保つことや換気の励行等に万全を期す。
・事務所同様に感染防止対策を示したポスター等を設置し、「三密」回避等の意識向上の定着を図る。
・現地案内は出来るだけ一組毎の予約制にする。
・現場の物件状況等を勘案し、マスクを着用しつつ消毒液の設置や定期的な消毒を実施する。

(参考)取組事例
・毎朝の検温と健康状態の報告を義務付け、チェックリストで管理する。
・店舗の入口にアルコール等の消毒液を設置しつつ、営業時間を短縮する。
・同業者との情報交換や関係者との打合せは出来るだけ非対面とし、
対面で行う場合もマスク着用を徹底する。
・お茶などの飲み物を提供する際は、感染防止のためペットボトル等のまま提供する。
・接客カウンター等対面する場所はアクリル板やビニールカーテンなどを設置して遮断する。
・現地案内を行う際は、出来るだけ現地集合・現地解散とする。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャ─ナリスト。建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。

東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、 『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、 『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。


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