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「斜め45度」の視点

2012年6月12日

第69回「戸別供給方式・太陽光発電」の運営ノウハウ

 大和ハウス工業と長谷工コーポレーションが、分譲マンション「プレミスト南千里津雲台」に、日本最大級であると同時に、関西では初となる戸別供給型の太陽光発電システムを導入した。完成は2013年6月の予定。

 太陽光発電システムは全170kw。そのうち、75kwを共用部の電灯などに利用。災害時には、共用部の非常用コンセントに電力を供給して、パソコンの電源や携帯電話の充電などに利用する。残りの95kwは、総戸数351戸の約1割に当たる38戸の特定住戸に、1戸当たり2.5kwずつ供給する。

 分譲マンションにおいて、太陽光発電システムで得た電力を特定の住戸に供給するとき、課題になるのは、「システムの保守・修繕」「余った電気の売電収入と売電配当の管理」などである。

 「プレミスト南千里津雲台」では、マンション管理組合に特別部会をつくる新方式を採用した。これは、共用部の75kwを管理組合が一括して運営。一方、専有部の95kwに関しては、特別部会で次のように運営する。

 (1) 特定住戸の住民が「戸別供給部会」を組織する。

 (2) 部会から役員1名を選んで管理組合に出す。

 (3) 屋上専用使用料を管理組合に支払う。

 (4) 部会管理費、部会修繕積立金、部会修繕積立一時金を管理する。

 マンションの『管理規約』を見せてもらうと、「第8章 戸別供給部会総会」の個所がA4の用紙で約4ページ分あった。他に、図表を含めて、細則が約3ページ分もある。 

 大和ハウス工業の担当者は、「業界関係者からの問い合わせが多い」と説明している。その言葉の通りに、貴重なノウハウが詰まった『管理規約』であると感じた。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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