リアナビ

スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2012年5月15日

第67回東京の印象を一変させた地図

 東京都防災会議は4月18日に、「首都直下地震による東京の被害想定」を公表した。東京湾北部地震、多摩直下地震、元禄型関東地震、立川断層帯地震という、4つの地震を対象にした被害想定である。

 そのうち、立川断層帯地震による予想震度分布の地図を見て、思わずハッとした。地図上に、これまで見慣れない「風景」が広がっていたからだ。

 図1 「立川断層帯地震(M7.4、破壊点が南側)による予想震度分布」

 図2 「東京都の市区町村」

 武蔵村山市、立川市、八王子市など、これまで地震に安全と思われた地域に「真紅」の震度7地帯が散在。その周辺を「オレンジ」の震度6強地帯、「黄色」の震度6弱地帯が取り囲んでいる。

 図3 「東京湾北部地震(M7.3)による予想震度分布」

 東京都民がこれまで目にしていたのは、図3のような、いわば「東が赤く、西が青い」地図であった。立川断層帯地震が発生すれば、「中央が赤く、東が青い」地図に一変するのである。

 見慣れない「風景」が描かれた図1は、首都圏の土地価格や分譲マンション価格に、どんな影響を及ぼすのであろうか。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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