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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2022年7月12日

第403回 政令指定都市のマンション購入に際して、X世代の59%が『YouTube』を利用

 株式会社「スタイルボート」は、地方政令指定都市に建つ居住用新築マンションを購入した「X世代(40〜50代)の111名」を対象に、2022年5月〜6月にかけて、 『マンション購入時の行動変容に関するアンケート調査』を実施しました。

【調査方法】インターネット調査
【対象都市】札幌市、仙台市、静岡市、新潟市、神戸市、広島市、福岡市、熊本市

 なお「スタイルボート」は、住宅の3Dコミュニケーションプラットフォーム「ROOV」を、開発・提供している会社です(東京都渋谷区神宮前、間所暁彦・代表取締役)。

◆調査の要点1
 X世代が新築マンション購入時に参考にした媒体は、『YouTube』が最多で59.5%だった。コロナ禍で、現地になかなか足を運ぶことができないため、SNSやブログでの情報収集が活発になった結果と思われる。

◆調査の要点2
 回答者の22.5%が、居住都道府県外のマンションを購入。そのきっかけは、「より生活に便利、居住に快適なマンションがいいと思った」や、「家族や親戚の近くに住もうと思った」など。

◆調査の要点3
 回答者の87.4%が「VR内覧ができたら、購入の意思決定がもっとスムーズにいった」と回答した。

 なおVRは「Virtual Reality」の略で、「人工現実感」や「仮想現実」と訳されている。VRゴーグルを装着すると、視界の360度が覆われて、「あたかも現実であるかのような感覚」を得ることができる。

◆調査の要点4
 今回の調査では、コロナ禍に「地方政令指定都市の新築マンションを購入」した、X世代の考えを聞いた。

[■■]Q1「あなたは、特定のマンションを具体的に購入検討した際に、どのような媒体を参考にしましたか?」

◆回答
①YouTube:59.5%
②Instagram:53.2%
③Twitter:52.3%
④不動産ボータルサイト(SUUMO)など:45.9%
⑤TikTok:45.0%

⑥ブログ:40.5%
⑦クチコミサイト:40.5%
⑧テレビCM:35.1%
⑨雑誌:35.1%
⑩新聞:31.5%

⑪チラシ:31.5%
⑫本:23.4%
⑬交通広告:20.7%
⑭その他:9.0%
⑮分からない/答えられない:0.0%

[■■]Q2「質問1で『SNS(YouTube、Instagram 、Twitter、TikTok)』、または『ブログ』と回答した方にお聞きします。

『SNS』や『ブログ』で収集した情報は、マンション購入時の意思決定にどの程度影響しましたか?」

◆回答
①かなり影響した:37.0%
②やや影響した:56.0%
③あまり影響していない:7.0%
④全く影響していない:0.0%
⑤分からない/答えられない:0.0%

[■■]Q3「マンション購入に関して、特定のマンションを具体的に検討したとき、SNSやブログで情報収集を行った理由を教えてください」

◆回答 ・リアルな口コミを見ることができるから:57.0%
・現地になかなか行けないため、他の人の声を参考にしたかったから:55.0%
・情報量が膨大だから:52.0%
・動画や画像とともに情報収集できるから:51.0%
・最新情報が表示されるから:45.0%

・コメントなどで直接質問することができるから:31.0%
・SNSを見る頻度が多く、その流れで調べやすいから:28.0%
・自分に最適化された情報が流れてくるから:22.0%
・家族や知人などと情報をシェアできるから:20.0%
・その他:6.0%
・わからない/答えられない:0.0%

[■■]Q4「あなたは、マンションを購入した際に、どのエリアに住んでいましたか」

◆回答 ・購入したマンションと同じエリア:34.3%
・購入したマンションと同じ都道府県(別エリア):41.4%
・購入したマンションと異なる都道府県(都心部):17.1%
・購入したマンションと異なる都道府県(地方部):5.4%
・海外:0.0%
・わからない/答えられない:1.8%

 ✶注「Q5」と「Q6」に関する回答は省略します

[■■]Q7「あなたはマンション購入検討時に、マンションギャラリーに行きましたか」

◆回答
・行った:84.7%
・行かなかった:12.6%
・わからない/答えられない:2.7%

[■■]Q8「マンションギャラリーに行った際に、不満に思ったことがあれば教えてください(複数回答)」

◆回答
・訪問日時の調整や予約作業が面倒:46.8%
・マンションギャラリーに足を運ぶのが面倒:46.8%
・感染症予防のため外出を控えたかったが、訪問せざるを得ない:44.7%
・検討したい部屋タイプのモデルルームがない:43.6%
・マンションギャラリーでの説明時間が長い:42.6%

・モデルルームのオプションが多く、検討したい部屋タイプの参考にならない:26.6%
・渡される持ち帰り資料が多い:23.4%
・何度もマンションギャラリーに訪問しなければならない:13.8%

・その他:5.3%
・不満はない:4.3%
・わからない/答えられない:0.0%

[■■] Q9「具体的な購入検討物件に関して、情報収集・検討を行う際に、全ての部屋タイプをVRで内覧すること ができたら、購入時の意思決定がもっとスムーズにいったと思いますか」

◆回答
・非常にそう思う:46.9%
・ややそう思う:40.5%
・あまりそう思わない:10.8%
・全くそう思わない:0.9%
・わからない/答えられない:0.9%

[■■] Q10「マンションギャラリーで渡される資料は、『紙』と『データ』どちらの方が良いですか」

◆回答
・データ:81.1%
・紙:15.3%
・わからない/答えられない:3.6%

[■■] Q11「あなたは、マンション購入時の説明をオンラインでも受けましたか。」

◆回答
・受けた:73.9%
・受けていない:23.4% ・分からない/答えられない:2.7%

[■■]まとめ

 アンケートに回答した「X世代(40〜50代)の111名」のうち、84.7%が、マンション購入検討時にマンションギャラリーを訪問していることが分かりまし た。

 そのため、「マンションギャラリーで感じた不満」を質問すると、46.8%が、「訪問日時の調整や予約作業が面倒」、「マンションギャラリーに足を運ぶのが面倒」と回答したそうです。

 すなわち、約9割の人たちが、「VR内覧」であれば購入時の意思決定がもっとスムーズだった」、と考えていることが明らかになりました。

 さらには、マンションギャラリーで渡される資料としてはX世代の81.1%が「データ」を希望していることが分かりました。

[■■]記事の筆者(細野透)の感想

 すでに説明したように、Q1「あなたは、特定のマンションを具体的に購入検討した際に、どのような媒体を参考にしましたか?」、という質問に対する回答としては、 『YouTube』が59.5%で1位になりました。

 それゆえに、念のため『YouTube』に、「新築マンション」というキーワードを打ち込んでみました。すると1番から3番までは、「新築分譲マンション」の広告記事が続きました。そして、その後に「新築分譲マンション」に関する「厳しい意見」らしきものが並んでいました。

✱「知らないと後悔する「新築マンション7つの落とし穴!」
✱「2022年からマンション市場はこうなる!マンション価格は年収の13倍、今後どうなるのか解説します。
✱「新築マンションを買うのはバカです。新築マンションを買うべきでない理由とは?」
✱「新築マンション・オプション金額公開。オプションつけまくりのズボラの住む家つけて良かった、後悔したこと」
✱「NGマンション20選----プロが自宅を買うなら避けるマンションの特徴をランキング形式で解説」
✱「新築マンションを買うと損するこれだけの理由、買った人は絶対に見ないでください」

 これを見ると、『YouTube』はずいぶん「厳しいメディアだなぁ」と思いました。しかし、それと同時に、「厳しいゆえに、それだけ頼りになるのだろうなぁ」という感情も湧いてきました(以下、次回)。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャ─ナリスト。建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。

東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、 『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、 『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。


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