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「斜め45度」の視点

2022年1月11日

第391回 東京湾岸の「HARUMI FLAG」、1期は「大人気」・2期は「絶好調」

 その選手村として利用されたのは、東京都中央区の晴海5丁目に建設されたばかりのマンション群、「HARUMI FLAG」です。

 選手村は大会後に改築。新たに建設される50階建ての超高層マンションを加えて、全体として5632戸の分譲・賃貸住宅がある、1万2000人規模の街に生まれ変わります。

[■■]「HARUMI FLAG」の概要

 総敷地面積…13万3906㎡

 分譲住宅街区…「SEA VILLAGE」5棟・686戸
 「SUN VILLAGE」7棟・1822戸
 「PARK VILLAGE」7棟・1637戸
 合計4145戸

 賃貸住宅街区…「PORT VILLAGE」
 4棟・1487戸

 その他…「店舗」「保育施設」「介護住宅」「商業施設」

 売主(10社)
 三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス
 野村不動産、住友不動産、住友商事、東急不動産
 東京建物、NTT都市開発、日鉄興和不動産、大和ハウス工業

[■■]第1期販売(2019年7月26日〜8月4日)は大人気

 「HARUMI FLAG」の住宅分譲街区の売主10社は、「東京2020オリンピック大会」の開催以前、すなわち2019年7月26日から8月4日(日)まで第1期販売を行いました。

 そして、2019年では首都圏最多となる600戸を供給、登録申込数は1543組となりました。これは最高倍率では71倍、平均倍率では約2.57倍という大人気でした。

 一方、販売価格は「SEA VILLAGE」が、3LDKで(7550万円~9200万円)、4LDKで(8450万円~2億3000万円)で、最多価格帯は「8600万円台」でした。

 また「PARK VILLAGE」が、2LDKで(5400万円~6960万円)、3LDKで(5930万円~1億2690万円)、4LDKで(6390万円~1億3240万円)で、最多価格帯は「6400万円台」でした。

 <https://kyodonewsprwire.jp/release/201908069512>

[■■]第2期販売(2021年11月12日〜11月21日)も絶好調

 「HARUMI FLAG」の住宅分譲街区の売主10社は、2021年12月2日に、報道関係者向けにニュースリリースを配布しました。

 首都圏最多631戸供給、最高倍率111倍、平均倍率約8.7倍

 「SUN VILLAGE」第1期、「SEA VILLAGE」第2期
 登録申込数5546組、全631戸に登録申込

 「東京2020オリンピック大会」が開催されたのは、2021年7月23日〜8月8日です。それから4カ月しか過ぎていないのに、「HARUMI FLAG」の 第2期販売は絶好調でした。

 「SUN VILLAGE」第1期465戸、および「SEA VILLAGE」第2期166戸の登録受付が2021年11月12日に始まったばかりというのに、1カ月も過ぎていない12月2日に、631戸全てに登録申し込みが入ったのです。

 しかも、総登録件数は、5546件で平均倍率は実に約8.7倍。そして最高倍率は、実に「111倍」という驚きの数字を記録しています。

 <https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/1202_02 /download/sumai/20211202_02.pdf>

 ①湾岸エリアのマンション市場は、この1年で大きく活気づいています。

 ②そんな中、「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」はコロナ禍で、東京五輪の開催が1年延期され、引渡し時期も延びたことから、販売開始が1年以上先延ばしされました。要するに、長い間、「待たされてしまった」のです。

 ③それに加えて、「SUN VILLAGE」第1期の最多価格帯は、5900万円台中心という値頃感のある価格設定でした。

 これを考えると、好調な売れ行きは妥当と言えるのかもしれません。

[■■] HARUMI FLAG の街づくり

 さて、「HARUMI FLAG」の住宅分譲街区の売主10社が、名前を連ねたニュースリリースの末尾には、「ご参考——HARUMI FLAGの街づくり」という項目が記載されています。

 「空から見ると、東京の真ん中にはためく大きな旗のように見えるこの街区は、 都市生活の新たなフラッグシップ・モデルとしての無限の可能性を秘めている。 東京の未来を指し示すこの旗のもとに、様々な人やモノ・コトが集まり、つねに楽しい予感に満ちあふれた街となることを目指して・・・」。

 ◆<最先端AEMSと水素エネルギーによるスマートシティの実現に向けて> 

 HARUMI FLAGは、住宅棟23棟5632戸と商業施設からなる大規模な街であり、多くのエネルギー需要が見込まれます。また新エネルギーとなる水素や太陽光などを活用した多重なインフラを活用するため、複雑なエネルギー管理も求められることから、住宅中心の街づくりでありながらAEMSを導入します。

 大規模一斉開発だからこそ実現した「HARUMI AI- AEMS」の導入によって、HARUMI FLAGは未来の街づくりのフラッグシップとなるスマートシティを目指します。

 ◆<世界でもトップレベルの環境先進型都市を目指して>

 世界的な街づくりにおける環境認証制度である「LEED(リード)」の街づくり部門、「ND(Neighborhood Development:近隣 開発)」における計画認証と、ランドスケープのサステナビリティを主に評価する「SITES(サイツ)」における予備認証の双方でGOLD認証を取得しました。

 また、生物多様性保全の取り組みに対する新規の環境認証制度である、「ABINC ADVANCE(エイビンク アドバンス)」については、その第一号物件として認証を取得。

 国内にて街づくりの取り組み全般を評価する「CASBEE(キャスビー)街区」のSランク認証については、マンション開発を中心とする事業として、それぞれ国内で初めて認証を取得しました。

 このように「4つの環境認証」を取得し、世界でもトップレベルの環境への配慮が認められた「HARUMI FLAG」は、2024年3月予定の分譲街区(板状棟)入居が開始となる「街びらき」に向けて、これからの都市生活のフラッグシップになる街を目指して開発を進めて参ります。 

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャ─ナリスト。建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。

東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、 『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、 『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。


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