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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2020年10月20日

第362回 伊藤忠都市開発が「コモリバand離れ」活用型のコロナ対応マンション

 「2020年オリコン顧客満足度ランキング・新築分譲マンション部門・首都圏」において、伊藤忠都市開発の分譲マンション「クレヴィア」は、首都圏60社のうち8位になりました。項目別の評価を見ると「立地」が1位、「周辺環境」が1位、「住戸設備」が3位と高く評価されています。

 その伊藤忠都市開発が9月のある日、分譲マンション「クレヴィア」に関する4通のニュースリリースを公表しました。マンションのデベロッパーが、同じ日に4通のリリースを公表するのは、かなり珍しい出来事です。

 私はこれを、「新型コロナ問題に対応するための様々な工夫を盛り込んだ、新築分譲マンションの販売活動を伝えるものではないか・・・」、と受け止めてじっくり読み込みました。

 そうすると4通のうち3通が、「新型コロナ対応型マンション」であることを強調しているリリースでした。以下、そのエッセンスを要約したいと思います。

【■■】「クレヴィア上野御徒町」(地上12階、全49戸)の特徴

 ◆全体のタイトル
 こもって没頭できる特別なスペース──「KOMORIBA(コモリバ、籠もり場)」を導入。

「KOMORIBA(コモリバ)」とは、自宅で趣味や読書、創作活動や仕事をするときに、こもって(籠もって)集中できるスペースを意味しています。

 具体的にいうと、住戸の室内に数平方メートル程度の「特別なスペース」を確保。そのスペースに「机や作業台」などを置き、周囲を「透明あるいは不透明な仕切り」で囲い、「電線や通信回線」などを用意すれば準備は完了です。

「特別なスペース」としては、次の各種が用意されています。

 ◆SHIGOTOBA STYLE(仕事場スタイル)
 夫婦各々が気を遣わずに、テレワークなどの仕事に集中できるスペース。

 ◆HAN-KOMORI STYLE(半・籠もりスタイル)
 居室内をゆるやかに区切り、籠もることが可能なスペースを創出。

 ◆AGIT STYLE(アジト・スタイル)
 空間は共有しつつ、お互いやりたいことに没頭できる隠れ家のようなスペース。

 ◆TSUKURIBA STYLE(創り場スタイル)
 好きなときに創作したり飾ったりする、自由に使える自分だけのスペース。以下に掲載したスケッチのような感じです。


 ◆注──申込期限
 各スタイルの選択には申し込み期限があります。
 住戸の階層によっては選択の対象外になることがあります。

 ◆「クレヴィア上野御徒町」の概要
 東京都台東区台東三丁目
 JR 山手線「御徒町」駅徒歩7分
 東京メトロ銀座線「上野広小路」駅徒歩7分
 地上12階、全49戸
 2021年9月竣工予定

ニュースリリースのURL
<https://ipd.co.jp/info/news_files/294_tmp_359.pdf>


画像は「クレヴィア上野御徒町」の完成予想図。

【■■】「クレヴィア山吹神楽坂」(地上8階、全49戸)の特徴

 ◆全体のタイトル
 これからの暮らし方を見据えた住まい──「離れ」のあるマンション

 このマンションでは、「with コロナ」 時代の新しい暮らし方を見据えて、リモートワークや趣味の部屋など、様々な用途に活用できる「住戸から独立した“離れ”の空間──プラスハナレ(+HANARE)」を導入しています。その概念図を以下に示しました。


 ◆「プラスハナレ」の諸タイプ

 A【プラスハナレ・プライベート1「JHタイプ」──1室】

 テラス付きの1階住戸のうち「JHタイプ」には、「プラスハナレ(広さ約3.5平方メートル)」が付属します。これは、住戸専用のリモートルームや趣味の部屋として、利用できます。

 B【プラスハナレ・プライベート2「KHタイプ」──1室】

 テラス付きの1階住戸のうち「KHタイプ」にも、「プラスハナレ(広さ約3.5平方メートル)」が付属します。これも住戸専用です。

 C【プラスハナレ・プライベート3「抽選タイプ」──1室】

 この「抽選タイプ」の「ハナレ(広さ約7.0平米メートル)」は、登録抽選での申し込みになります。

 D【ハナレ・パブリック「共用タイプ」──1室】

 この「共用タイプ」の「ハナレ(広さ約5平方メートル程度)」は、すべての入居者が利用できる共用のハナレで、リモートワークも可能です。

 ◆「クレヴィア山吹神楽坂」の概要
 東京都新宿区山吹町 360
 東京メトロ有楽町線「江戸川橋」駅徒歩4分
 東京メトロ東西線「神楽坂」駅徒歩9分
 地上8階、全49戸
 2021年12月竣工予定

ニュースリリースのURL
<https://ipd.co.jp/info/news_files/293_tmp_360.pdf>


画像は「クレヴィア山吹神楽坂」の完成予想図

【■■】「クレヴィア小杉御殿町」(地上4階、全47戸)の特徴

 ◆全体のタイトル
  最上階に「離れ」を設置、新しい居室空間『+HANARE(プラスハナレ)』初導入

 このマンションでも、「withコロナ」時代の新しい暮らし方を見据えて、『+HANARE(プラスハナレ)』空間を積極的に導入しています。そして「プラスハナレ」空間は、以下の図に示すように、大きく3タイプに分かれています。


 ◆プラスハナレ・プライベート(専有の自由空間)

 この「プラスハナレ・プライベート」は専有であるため、家具やインテリアを自由にレイアウトし、リモートワークや趣味の部屋などとして使用することが可能です。

 全体として、「約6.5平方メートルの部屋が4室」用意されています。

 ◆プラスハナレ・コモン(共用の個室)

 この「プラスハナレ・コモン」は、入居者の誰もが利用できる共用スペースです。1人で集中したい時やインターネットカフェ、図書館などの代わりに、パソコンやスマートフォンで手軽に予約することができます。

 全体として、「約4平方メートルの部屋が4室」用意されています。

 ◆プラスハナレ・シェアン(共用の和室広間)

 この「プラスハナレ・シェアン」は、畳が敷かれた和室仕様の共用スペースです。大切な人をもてなす広間として、あるいは交流の場として、使用することが可能です。

 「約15平方メートルの部屋が1室」用意されています。

 ◆「クレヴィア小杉御殿町」の概要
 神奈川県川崎市中原区小杉御殿町1丁目
 JR南武線「武蔵中原」駅徒歩16分
 JR南武線・横須賀線・湘南新宿ライン「武蔵小杉」駅北口徒歩19分
 地上4階、全47戸
 2021年11月竣工予定

ニュースリリースのURL
<https://ipd.co.jp/info/news_files/292_tmp_361.pdf>


 画像は「クレヴィア小杉御殿町」の完成予想図

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャ─ナリスト。建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。

東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、 『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、 『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。


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