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2020年4月14日

第349回 「不動産事業にコロナショック、来店者・内見者減でダメージ」──ライフル社が調査

 不動産情報サイト「LIFULL HOME'S」を運営するライフル社は、2020年3月19日、新型コロナウイルス感染症に対する「不動産事業者の意識調査」の結果を公表した。

 実施期間──2020年3月9日〜2020年3月12日
 調査対象──「LIFULL HOME'S」に加盟する全国の不動産事業者
 実施期間──2020年3月9日〜12日
 回答件数──925件
 調査方法──インターネット調査

 筆者が把握している限りでは、この種の調査としては、最も早かったし、かつ内容も充実している。よって、詳しく紹介したい。

【■■■70.5%の不動産事業者が、現時点で「企業活動に影響が出ている」と回答】


 この図は「現時点で企業活動に影響が出ていますか?」と質問した結果である。業務内容(賃貸仲介、賃貸管理、売買仲介、売買分譲)によって少し差はあるが、全体では27.1%の企業が「影響が出ている」、43.4%の企業が「やや影響が出ている」と回答した。合計すると70.5%になる。

【■■■「企業活動が受けている影響」の内容】


 この図は「企業活動に影響が出ている、やや影響が出ている」と回答した企業に、「その内容」を質問した結果である。

 賃貸では仲介・管理共に「来店者の減少」、売買では仲介・分譲共に「内見者の減少」が最多である。

 次に、どの業態においても、「マスクやなど衛生用品が確保できない」「問合せの減少」「売上の減少」などに悩んでいることが分かった。

 これに次いで「商談の延期・中止」「展示会やイベントの延期・中止」も多く、ビジネスチャンス獲得への影響が懸念されている。

 ほかに「戸建て引き渡しの遅れ」が目立つ。その自由回答欄の中には「中国産の建築材料の輸入遅れなど、住宅設備の供給停止が影響している」とするコメントもあった。

 さらに「社員が感染、濃厚接触者となった」という回答も18件あった。これによって、事業所の一時閉鎖などで、企業運営に大きな影響を受けている可能性もある。

【■■■91.9%の不動産事業者が、「今後の影響を心配している」と回答】


 この図は「今後の企業活動への影響が心配ですか?」と質問した結果である。全体では53.4%の企業が「あてはまる(心配している)」、38.5%の企業が「ややあてはまる(少し心配している)」としている。すなわち心配している企業が91.9%に達している。

 これに対して、「あてはまらない(心配していない)」とした企業は、わずか8.1%に過ぎない。

【■■■91.9%の不動産事業者が、「今後の影響を心配している」と回答】


 この図は、「今後の企業活動への影響を心配している」、あるいは「少し心配している」と回答した企業に、「心配の内容」を質問した結果である。

 賃貸(仲介・管理)あるいは売買(仲介・分譲)などの業態を問わず、まず「売上の減少」「来店者の減少」「内見者の減少」「問合せの減少」など、ビジネス面のダメージを心配している。

 それに続くのが、「社員への感染」「マスクや消毒薬など衛生用品が確保できない」など、新型コロナウィルス感染症への心配である。

【◆注】
 ライフル社は、新型コロナウイルス感染症に対する「不動産事業者の意識調査」の結果を、PR TIMES(プレスリリース・ニュースリリース配信サービス)を通じて、2020年3月19日に公表した。

 なお、調査が実施された3月9日〜3月12日の段階では、感染者は500人〜600人だった。しかし4月には2000人を超えたので、企業活動への影響はより深刻化したと思われる。

 リリースのURL<https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000126.000033058.html>

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャ─ナリスト。建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。

東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、 『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、 『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。


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