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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2017年8月15日

第256回野村不動産が名古屋に「総合マンションギャラリー」、住友不動産との差別化も

 野村不動産は名古屋市中区栄4丁目の中日ビル1・2階に、名古屋都心シリーズ6物件(中区・東区で計627戸)を販売するための総合マンションギャラリー、「プラウドラウンジ名古屋」を7月下旬にオープン。シリーズ第1弾として、「プラウド東白壁」「プラウドタワー名古屋伏見」という2物件の案内を開始した。

 このプラウドラウンジには大きく2つの特徴がある。

 第1に、「ペーパーレス接客」を目指して、デジタルな手法を採用したこと。写真を交えて具体的に見ていこう。

 「プロジェクションマッピングシステム」── シアター内で、動画および模型を利用した映像を用いて、プレゼンテーションを行う。 

 「大型タッチパネル」──タッチパネルを利用して、周辺ロケーションや建物のCG画像を説明し、また眺望シミュレーションを行う。

 「experia touch」──デジタルコンテンツを投影し、客に触れてもらいながら、物件のプレゼンテーションを行う。

 「タブレット(iPadPro)」──パンフレット、図面集、営業説明資料等をデジタル化する。

 第2の特徴は、既存プラウド物件のオーナーが、訪れやすい環境を整えたこと。

 「オーナーズカフェ」──買い物時の休憩場所や待ち合わせ場所として開放し、コーヒー等を無料で提供する。

 「体感型イベント」──ワインセミナー、ワークショップなどを定期開催する。

 「セミナー」──収納セミナー、お掃除セミナー、住替えセミナー、税務セミナーなどを定期開催する。

 「相談1次窓口」──オーナーの相談ごとや困りごとの1次窓口となる。

 筆者は、「プラウドラウンジ名古屋」がオープンする直前の、7月15日(土)に開催されたマスコミ向け見学会に出席する形で現地を訪れた。

 取材案内状を見て、初めは「おっ、土曜日の開催なのか」と少し驚いた。土曜・日曜・休日は営業スタッフが忙しいため、マスコミ向け見学会の開催は皆無に近いのである。

 次に驚いたのは、シアターだけではなく、模型コーナーやモデルルームでも、一般のお客さんと一緒だったこと。普通は、一般のお客さんがいる場合、マスコミ関係者は彼らの邪魔にならないように、遠慮しながら行動する。

 しかし今回は、取材に対応してくれる営業スタッフが、「お客さま第一」という雰囲気ではなかったので、当方も遠慮することなく取材が可能だった。

 「こんなことは珍しいなぁ」と感じて様子を観察していて、1つ気づいたことがある。その日来ていたお客さんは、「プラウド東白壁」「プラウドタワー名古屋伏見」を購入する目的ではなく、既存プラウド物件のオーナーとして、新たにオープンした「プラウドラウンジ名古屋」を見学するために来ていたらしいのである。それなら、確かに遠慮は不要である。

 総合マンションギャラリーといえば、住友不動産の「多数のモデルルームを集合したタイプ」が有名だが、野村不動産の「プラウドラウンジ名古屋」は既存のオーナーにも対応するという意味で、差別化を図っていたことになる。

 さて、野村不動産は今回、なぜ名古屋市の都心2区(中区・東区)に限定した、総合マンションギャラリーを開設したのだろう。

 地図を見てほしい。名古屋市は16の区に分かれるが、地図に青色で示した東区・中区・熱田区・中村区を「都心部4区」、茶色で示した千種区・昭和区・瑞穂区を「中央部3区」と呼ぶ。

 このうち中村区にはJR名古屋駅があり、2027年にはリニア中央新幹線が開通する。すなわち、マンションの立地としては今後、都心部4区の中でも特に東区・中区の注目度が高まっているのである。

 【プラウド東白壁】

 所在地─名古屋市東区芳野1丁目 

 交通─瀬戸線「尼ヶ坂」駅徒歩7分 

 敷地面積─2559.22平方メートル

 構造・規模─鉄筋コンクリート造地上10階建 

 総戸数─66戸

 専有面積─66.78~90.92平方メートル

 入居時期─2018年3月下旬

 事業主─野村不動産

 施工─矢作建設工業

 【プラウドタワー名古屋伏見】

 所在地─名古屋市中区錦1丁目

 交通─東山線・鶴舞線「伏見」駅徒歩4分 

 敷地面積─924.47平方メートル

 構造・規模─鉄筋コンクリート造地上21階

 総戸数─75戸

 専有面積─46.79~148.06平方メートル

 入居時期─2019年3月下旬

 事業主─野村不動産

 施工─矢作建設工業

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャ─ナリスト。建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。

東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、 『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、 『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。


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