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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2013年7月2日

第108回三井不動産レジデンシャルの「タッグチーム」

 東京都江東区豊洲6丁目に建設中のタワーマンション、「東京ワンダフルプロジェクト SKYZ TOWER&GARDEN」(地上44階、総戸数1110戸)の第1期販売が、7月上旬に始まる。予定販売価格は3500万円台~1億3900万円台で、予定最多販売価格帯は5500万円台。

 その最大の特徴は、三井不動産レジデンシャル、東京建物、三菱地所レジデンス、東急不動産、住友不動産、野村不動産という、総合デベロッパー6社が初めて結集したプロジェクトであること。

 マンションデベロッパーとしては、上記6社に大京を加えた7社を「メジャーセブン」と呼ぶ。そのメジャーセブンの中から、分譲マンションだけではなくオフィスビル、商業施設、賃貸マンションなど不動産全般を手がける6社が結集したのが珍しい。

 何かあったとき、購入者が補償を受けられるかどうかは、分譲主の経営状態によるところが大きいが、今回は「不動産オールジャパン」体制なのだから心配はほぼ無用であろう。

 この「東京ワンダフルプロジェクト」は別格なのだが、最近、三井不動産レジデンシャルが他社とタッグチームを組んで、プロジェクトを推進するケースが目立っている。

 目新しいところでは、中央区の月島に建設中のランドマークタワー、「キャピタルゲートプレイス」(総戸数702戸)。地上53階の「ザ・タワー」、11階の「ザ・レジデンス」、開放広場の「ザ・ガーデン」、店舗・医療施設・保育施設などが入居する「ザ・モール」、住宅共用部が集まる「ザ・コモン」で構成された、商住一体の大規模複合再開発計画である。

 幹事会社は三井不レジ、タッグを組んだ相手は野村不動産。販売開始予定は6月下旬だが、販売巧者の2社が組んだからには、「即完」は必至と思われる。

 逆に、幹事会社が野村不動産で、チームに三井不レジとNREG東芝不動産が加わったのが、「ヒルコートテラス横浜汐見台」(5階、416戸)。東芝の社宅跡地に、「舞台はヨコハマの丘。約3万9000平方メートル超の敷地に描く、416家族の大きな笑顔へ」をキャッチコピーに建設中のマンションだ。販売は7月上旬の予定。

 ほかに、三井不レジと大和ハウス工業がタッグを組んだのが、西武立川駅の南口で行われている大規模複合開発事業「アユモシティ」。総開発面積約 6.7haの土地に、住宅、商業、公共施設が一体となった複合プロジェクトである。このうち、三井不レジは「ファインコート西武立川アユモシティ」(168 区画)、大和ハウス工業は「フローラルアベニュー西武立川アユモシティ」(91 区画)で戸建分譲を行う。

 筆者が今、横目でにらんでいるのは、野村不動産と大和ハウス工業によるタッグチームの可能性である。それは、野村不動産の「プラウド」立ち上げの立役者とされ、野村不動産ホールディングス副社長を2011年3月末で退任した高井基次氏が、2012年10月1日付けで大和ハウス工業のマンション事業統括上級執行役員に就任。業界関係者を「あっ」といわせた事実があるからだ。

 仮に、実現すれば注目プロジェクトになるのだが、さて。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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