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2015年11月17日

第193回「西日本最高価格7億円超マンション」記者発表会の雰囲気

 三菱地所レジデンスが京都市上京区上生州町に建設している、「ザ・パークハウス京都鴨川御所東」の記者発表会に参加した。

 「本物件は、京阪鴨東線・神宮丸太町駅徒歩6分の地に誕生します。東側に鴨川と大文字山を望み、西側に京都御所と京都御苑。11年ぶりの供給となる鴨川に面したマンションプロジェクトです。京都の夏の風物詩『五山送り火』の一つ、大文字を正面から望むことのできる東向きの住戸は、西日本最高価格の7億円超を予定しています」。

 勢いのある案内状に惹きつけられて、会場となった京都ホテルオークラ3階の「金剛」には、40~45人もの記者が詰めかけた。

 【概要】

 所在地─京都市上京区生洲町197番

 交通─京阪鴨東線「神宮丸太町」駅徒歩6分

 総戸数─85戸(事業協力者住戸10戸含む)

 間取り─1LDK~3LDK

 専有面積─43.38m2~287.23m2

 敷地面積─5102.26m2

 構造・規模─RC地上5階・地下1階

 用途地域─第一種住居地域

 販売予定─平成27年11月中旬販売開始(予定) 

 完成日─平成29年3月中旬(予定)

 記者発表の冒頭で、同社常務執行役員の森克明氏が市況を説明。次いで常務執行役員大阪支店長の奥本信宏氏が物件の特徴を説明した後に、質疑応答に移った。

 真っ先に手を上げた私は、「標準グレードの本館61戸と、プレミアムグレードの別館24戸に分けて、それぞれ平均坪単価を教えてほしい」と質問した。しかし、返って来たのは「未定です」という一言だった。

 モデルルームのグランドオープンは、記者発表会からは11日後なので、私は「まぁ、そんなものか」と納得した。しかし全国紙の記者はそういう説明には納得しなかった。日経新聞のA記者、読売新聞の記者、共同通信の記者、所属を名乗らなかった2人の記者、朝日新聞の記者などが次々に価格に関する質問を続けた。

 Q「平均坪単価が未定というのなら、価格の幅を教えてほしい」

 A「80平方メートル台で7000万円台、120平方メートル台で1億9000万円台になります」

 Q「それを計算すると平均坪単価は約400万円になるのではないか」

 A「平均坪単価は決まっていません」

 Q「それなら1億円超の住戸は何戸になるのか」

 A「6割程度になります」

 Q「6割程度というのは全戸数85戸の6割なのか、それとも事業者協力住戸10戸を引いた75戸の6割なのか」

 A「……(無回答)」

 このやり取りは、前向きに表現すれば「活発な質疑応答だった」ということになるのだが、別の角度から見ると「地所レジデンスの情報出し渋り」のようにも見えなくはなかった。  (以下、続く)

 鴨川の西岸に建つ「ザ・パークハウス京都鴨川御所東」

 関係地図

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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