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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2011年8月2日

第39回『日経ビジネス』の辛口ランキング

 総発行部数27万部の経済誌、『日経ビジネス』が住宅・不動産業界を見る目は総じて厳しい。その最たる例が、毎年、夏になると掲載される「アフターサービスランキング」であろう。

 これは、各企業ごとに、製品の購入者やアフターサービスの経験者を対象にアンケート調査し、それをまとめたランキングである。

(1) アフターサービスに対する評価を、「a満足」「bまあ満足」「cどちらでもない」「dやや不満」「e不満」の選択肢から選んでもらう。

(2) それぞれの回答者数に、「aは100」「bは50」「cは0」「dは-50」「eは-100」を掛けた数値を合計し、それを各企業ごとの回答者数で割る。

 たとえば、回答者が100人で、「aが20人」「bが30人」「cが30人」「dが10人」「eが10人」だと、アフターサービス満足度は20点になる。

 今年は20万人を対象にアンケートし、1万9900人から有効な回答を得て、その結果を同誌7月25日号に掲載した。

 新築の戸建て住宅に関しては次のような結果になった。

1位 積水ハウス 満足度指数60.0点

2位 大和ハウス工業 56.0点

3位 住友林業 54.0点

4位 旭化成ホームズ 53.7点

5位 三井ホーム 45.0点

6位 ミサワホーム 44.4点

7位 パナホーム 38.5点

8位 積水化学工業 37.5点

 各企業ごとに、満足度指数がそのまま公表されるのだから、まさしく「辛口ランキング」と呼ぶしかない。

 残念なのは、上位の3企業に関しては記事に説明があるのに、下位企業に関しては何の説明もないこと。8位の積水化学工業(セキスイハイム)はなぜ最下位だったのか。他山の石とするためにも、適切な説明がほしかった。

 次に、新築マンションに関しては次のような結果になった。

1位 三井不動産レジデンシャル 32.7点

2位 住友不動産 31.6点

3位 長谷工アーベスト 26.7点

4位 コスモスイニシア 22.4点

5位 野村不動産 18.4点

6位 東急不動産 13.5点

7位 三菱地所レジデンス 6.9点

8位 大京 4.5点

 こちらに関しては、三井不動産レジデンシャルがなぜ1位になったのか、三菱地所レジデンスがなぜ7位になったのかについて、きちんとした説明がある。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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