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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2016年2月16日

第202回国交省がまとめた「杭施工ルール」の勘所

 国土交通省の「基礎杭工事問題に関する対策委員会」が、「杭の一般的な施工ルール」をまとめた。

 まず設計、施工、工事監理の3分野ごとに基本方針を決めた。

 デベロッパーとして注意したいことは2点ある。まずA「設計」の1番。地盤が悪い場合には十分に調査しないと、後で泣き目をみることになりかねない。

 次にC「工事監理」。設計と施工を別々に発注すると、設計事務所が工事監理を担当するために、設計事務所と建設会社の相互チェック機能が働きやすくなる。

 傾斜マンション「パークシティLaLa横浜」では、そもそも場違いな「ダイナウィング工法」を採用したことが、杭の施工不良のきっかけになったと思われる。これは設計・施工を一貫して三井住友建設に発注したため生じた問題で、別々に発注していれば回避できた可能性が高い。

 なお B「施工」の5番に対応する形で、主要なゼネコンが参加する日本建設業連合会(日建連)は、「既製コンクリート杭施工管理指針」をすでに作成した。

 次に、施工の分野では、元請けと下請けの役割分担を明確にした。

 デベロッパーとして特に注意したいことは B「支持層到達」の3?5番。杭工事が始まる前には必ず現場を訪れて、様子をしっかり確認してほしい。

 国交省「杭の一般的な施工ルール」は近い将来、建設業法の告示という形で正式に確定する見込みである。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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