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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2015年8月4日

第183回「ブリリアタワーズ目黒」の販売に「シャワー方式」を採用

 東京建物と首都圏不燃建築公社が、7月中旬に実施した「ブリリアタワーズ目黒」の第1期販売495戸に、これまで前例がないと思われる「シャワー方式」を採用した。

 まず住戸を大きく3タイプに分類する。

 A 最上階のプレミアムグレード住戸

 B 頂部階のプレミアムグレード住戸

 C 上層階?低層階のエグゼクティブ・スタンダードグレード住戸

 次に住戸の抽選を最上階のA住戸から行い、数日遅れてB住戸の抽選を行い、さらに数日遅れてC住戸の抽選を行う。

 A住戸の抽選日──7月10日

 B住戸の抽選日──7月17日

 C住戸の抽選日──7月21日

 このように数日ずらしたところにミソがある。そしてA住戸の抽選に漏れた顧客には、B住戸とC住戸の登録時に優遇倍率2倍を与える。さらにB住戸の抽選に漏れた顧客には、C住戸の登録時に優遇倍率2倍を与える。まことにユニークな方法である。

 デパートや大型商業施設に「シャワー方式」という販売手法がある。最上階に目玉店舗やイベント会場を置くことで、顧客をエレベーターでとりあえず最上階に誘導。その後はシャワーが上から下に流れ落ちるように、顧客に各階を回ってもらって財布の紐をゆるめてもらう、上から下に導く方式である。

 それと同じように、最上階や頂部にあるプレミアムグレード住戸を購入する上得意客を優遇することで、高額の住戸から確実に売り切っていこうという考え方になる。

 販売活動を開始した当初は、資料請求件数の目標を6000件としていたにもかかわらず、最終的には2万5000件を突破した、業界新記録ペースの勢いを背景にして生まれた異例の販売手法であろう。

 第1期販売分は即日完売し、平均倍率は3.5倍、最高倍率は43倍に達した。

 【ブリリアタワーズ目黒の概要】

 所在地─東京都品川区上大崎三丁目

 交通─JR山手線「目黒」駅徒歩1分

 規模─北棟40階建て、南棟38階建て

 戸数─総戸数940戸、そのうち分譲661戸

 専有面積─約30平米~約150平米

 価格─5000万円台~4億5900万円

 施行者─目黒駅前地区市街地再開発組合

 売主─東京建物、首都圏不燃建築公社

 設計・施工─大成建設・竹中工務店JV 

 完成予定─2017年12月

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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