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2013年5月7日

第102回青山建設共済会館が「南青山6丁目マンションプロジェクト」へ(ビフォー&アフター 1)

 東京の港区と渋谷区界隈を歩き回っていると、3件のマンション建設現場に遭遇した。リクルート社の「SUUMO」をチェックすると、新築マンションの販売件数は、4月末時点で港区49件、渋谷区27件。1年以上前から販売している物件も含まれているため、割り引いて考えなければならないとしても、マンションの建設現場がずいぶん多い感じがする。

 意外だったのが、遭遇した3件とも、前に建っていた建物を記憶していたこと。よって、今月は、いわば「ビフォー&アフター」特集としてまとめてみた。

 最初の現場は、大和ハウス工業の「(仮称)南青山6丁目マンションプロジェクト」。東京メトロ表参道駅から徒歩6分。港区南青山6丁目にある約3752平方メートルの土地に、地上8階・地下2階、総戸数84戸の物件を建設する。

 現場を囲う塀の「パンフレットボックス」から取り出した資料を見ると、販売開始予定時期は「平成25年6月上旬予定」とある。それを手がかりに、大和ハウス工業のホームページにアクセスすると、立地の説明と物件概要はあるものの「マンションの外観、内観、間取り」などのビジュアルな資料は一切掲載されていない。その代わりに「資料請求者様用コンテンツ」の欄があって、「資料請求フォーム」に記入して申し込んだ人だけが閲覧できる仕組みになっている。

 6月上旬の販売予定でありながら、4月下旬段階で、これほど情報を公開しないケースも珍しい。

 現場の「パンフレットボックス」の資料には、次のように書いてある。「ここには、ダイワハウスの住まいへの想いが凝縮されている。ハウスメーカーの先駆として、わたしたちダイワハウスが目指したもの。それは、次代の新たな指標となるマンションの創出でした。立地、建築意匠、迎賓の心。これらが実現する住まう人をもてなす空間こそ、これからの住まいのあり方を示すと考えました」

 大和ハウス工業は4月16日にコスモスイニシアとの資本業務提携を発表。マンションブランド「プレミスト」を強化すると表明した。南青山6丁目マンションプロジェクトはその第1弾だろうか。いや、時間的につじつまが合いそうもない。いずれにしても、好奇心がそそられる物件であることは間違いない。

 この敷地には以前、青山建設共済会館(所有者、国土交通省共済組合)が建っていた。平成20年3月に、国土交通省が一般競争入札を実施し、大和ハウス工業が落札。価格は「日経不動産マーケット情報」の年間購読者なら知ることができる。しかし、年間購読料は15万150円(税込み)なので、価格情報は「高嶺の花」としておきたい。

 さて、南青山6丁目マンションプロジェクトの南隣は、「芸術は爆発だ」で知られた「岡本太郎記念館」。そして、同記念館の南隣には、三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス広尾羽澤」のマンションギャラリーが建っている。

 (以下、次号)

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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