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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2014年4月22日

第137回住友不と三井不レジの意欲的なプレスリリース活動

 マンションを取材する場合には、デベロッパー各社から送られてくるプレスリリースがひとつの手がかりになる。

 デベ各社は通常、国土交通記者会(43社)および国土交通省建設専門紙記者会(33社)にリリースを配布する。参考までに両記者会の加盟社名簿を添付した。


 この両記者会への加盟社に加えて、デベ各社は雑誌の編集部やフリーのジャーナリストにもリリースを送付する。

 2014年に送られてきたリリースの中で特に印象に残ったのは、まず住友不動産による一連のリリースである。

 一「サザンシティ南与野駅前」(91戸)

   南与野駅西口土地区画整理事業地内のファーストプロジェクト

   1月11日、事前案内会開始

 

 二「インペリアルガーデン」

  (東京都文京区千石2丁目、167戸)

   1月25日 モデルルームグランドオープン

 三「(仮称)カワサキミライク-川崎未来区」(257戸)

   2月8日、事前案内会開始

 四「スカイティアラ・レジデンスフォレスト」

  (東京都板橋区小豆沢1丁目、361戸)

   3月1日、マンションギャラリーグランドオープン

 五「セントラルレジデンス調布ステーションコート」(190戸)

   調布駅南口東地区第一種市街地再開発事業

   3月1日、マンションギャラリーグランドオープン

 六「シティタワー広島」(514戸)

   広島駅南口Bブロック第一種市街地再開発事業

   3月15日、事前案内会スタート

 この6物件のうち、ぜひ取材したいと思ったのが2物件、機会があれば取材したいと思ったのが2物件あった。注目物件が「6分の4」というのはかなりの高率である。

 リリースの中で記憶に残った2社めは三井不動産レジデンシャルである。同社は企業活動が活発なため、「プレスリリース」「ニュースレター」「取材ご案内」などのタイトルで多数のリリースが送られてくるのだが、2月13日にはなんと1日に4件のリリースが送られてきた。同じ会社から1日4件というのは、筆者にとって新記録である。こんな内容だった。

 一。神奈川県藤沢市南部の約19haのパナソニックグループ工場跡地で進められている、三井不動産レジデンシャル「ファインコートFujisawa SST」28戸の第1期販売を2月15日より開始する。

 二。三井不動産グループが管理している、関東エリアのマンション約1600棟の管理組合を対象として、サステナブル・コミュニティ研究会が、「マンション・コミュニティに関するアンケート調査」を実施した。

 三。東京都江東区東雲1丁目に建設していた、地上43階建て、免震構造、長期優良住宅認定の超高層分譲マンション「パークタワー東雲」の建物竣工見学会を開催する。

 四。東急東横線「武蔵小杉」駅前に、商業施設「三井ショッピングパーク・ららテラス・武蔵小杉」と一体開発を進めていた、「パークシティ武蔵小杉ザ・グランドウイングタワー」の竣工発表会・見学会を開催する。

 この中で注目されるのは「マンション・コミュニティに関するアンケート調査」である。

 (1)「コミュニティ形成に関する活動は特にない」が約60%。

 (2)「マンション内の防災訓練」実施は約40%。

 (3)「コミュニティは良好」と答えた人が約70%。

 (4)「ルールを守らない居住者増加」が約20%。

 (5)「区分所有者の高齢化」が約30%。

 マンション・コミュニティの様々な実態が明らかになると同時に、居住者間ルールや居住者間トラブルなどの課題も浮上している。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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