リアナビ｜スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2015年6月16日

第178回週刊ダイヤモンドと週刊東洋経済のライバル関係

　５大経済誌のうち、マンション・不動産特集が多く掲載され、内容的にも競り合っているのは週刊ダイヤモンド（１３万４０００部）および週刊東洋経済（９万７０００部）の２誌である。マンション各社を取材している際にも、ときどき両誌の記事が話題になることがある。　週刊ダイヤモンドは２０１３年以降、４回の特集を組んでいる。　２０１３年３月２３日号　不動産マネー動く！──

　２０１３年４月２０日号　今、買うならこれだ！（得）マンション──

　２０１４年１２月６日号　ゼネコン不動産──

　２０１５年３月７日号　高く売れる家、売れない家──

　週刊ダイヤモンドのマンション・不動産特集の特徴は、不動産業界だけではなくゼネコン業界への目配りが効いていることだ。　次に週刊東洋経済は２０１３年以降、実に６回もの特集を組んでいる。　２０１３年５月１１日号　不動産２極化時代──

　２０１３年６月８日号　マンション時限爆弾──

　２０１３年８月１７日合併号── 　マンション大規模修繕完全マニュアル

　２０１４年１月１１日号　不動産　動き出す！──

　２０１４年１２月６日号　マンション防災・修繕・管理　完全マニュアル──

　２０１５年５月２３日号　不動産・マンションバブルが来る！？──

　　このうち最新号に掲載された、「不動産・マンションバブルが来る」特集号の目次を、以下に紹介する。

　再開発ラッシュの東京　新規プロジェクトが続々

　［Ｐａｒｔ１］　都心再開発バブル

　　不動産大手　最後の陣取り合戦

　　独自路線をひた走る　森トラストの皮算用

　「日本買い」に沸騰する海外マネー

　　狙いは「爆買い」中国人客　変わる銀座

　　ＪＲ主導の品川再開発　課題は「街づくり」

　　五輪レガシーをどう作る　神宮外苑開発が試金石

　　訪日客増で激変　地方に波及するホテル投資

　　大阪は「梅田一極集中」に拍車

　［Ｐａｒｔ２］　マンション異次元価格

　　相場は年収の１０倍　マンションが買えない！

　　新「億ション」買い手の正体

　　すでに「新々価格」超え　郊外マンションも値上がり

　　実質マイナス金利？　住宅ローンで得するからくり

　　強まる大手デベロッパーの長谷工依存

　　中古マンション　本当に「買い」か？

　　リセールバリューの高い物件の選び方

　［首都圏・関西圏・名古屋圏　最新価格データ］

　　マンション、戸建て　注目エリアはここだ！

　　１０００万円台が続出！　郊外で進む"戸建てデフレ"

　　再開発ブームに残された課題

　特集「不動産・マンションバブルが来る！？」で扱った内容は、住宅ジャーナリストという仕事をしているため大体のことは知っていたが、一冊にまとまっているので頭の整理に役に立つ。

　東洋経済のマンション・不動産特集の特徴は、マンション業界の動向に焦点を合わせているだけではなく、マンションの防災・修理・管理に目配りしていること。２０１３年６月８日号「マンション時限爆弾」、２０１３年８月１７日合併号「マンション大規模修繕完全マニュアル」、２０１４年１２月６日号「マンション防災・修繕・管理完全マニュアル」の３部作シリーズは、出来映えがいいので保存しておくと便利である。

細野透（ほその・とおる）

建築＆住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。　東京大学大学院博士課程（建築学専攻）修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。　著書に、『建築批評講座』（共著、日経ＢＰ社）、『建築家という生き方』（共著、日経ＢＰ社）、『ありえない家』（日本経済新聞社）、『建築産業再生のためのマネジメント講座』（共著、早稲田大学出版部）、『耐震偽装』（日本経済新聞社）、『風水の真実』（日本経済新聞出版社）ほかがある。