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「斜め45度」の視点

2015年7月7日

第180回武蔵小杉の第2ラウンド開始を告げる記者発表

 首都圏を代表するタワーマンションの街に成長した武蔵小杉の東急電鉄駅・JR東日本駅の東側に、三井不動産レジデンシャルが第1号物件を完成させたのは2009年だった。それからわずか6年しか経たないのに、リクルートの2015年版「住みたい街ランキング」で、吉祥寺、恵比寿、横浜、目黒に次いで武蔵小杉は第5位に入った。

 駅周辺の開発が進むにつれて、中古マンションの成約単価は上昇して、東京湾岸エリア以上の水準にまで上昇している。

 月島・勝どきエリア ─坪309万円

 品川・港南エリア  ─坪297万円

 豊洲エリア     ─坪262万円

 台場・有明エリア  ─坪251万円

 東雲エリア     ─坪220万円

 武蔵小杉再開発エリア─坪306万円

 従来は駅の東側を中心にしていたタワーマンションの開発計画が、今後は駅の北口に移行する。いわば第2ラウンドの始まりである。

 三井不動産レジデンシャルとJX日鉱日石不動産は6月下旬、武蔵小杉駅の北口再開発計画のフラッグシッププロジェクトとなる「パークシティ武蔵小杉ザガーデン」の記者発表会を開催した。このマンションは東棟と西棟のツインタワー形式で総戸数は約1200戸だが、当日は東棟の概要と第1期販売計画が説明された。

 このように重要なプロジェクトであることを反映して、モデルルームにもかなり力が入っていた。普通はタワーマンションの模型がひとつの目玉になるのだが、今回はそれに加えて武蔵小杉に建つタワーマンション群の模型が広い部屋に陳列されていた。模型はなんと木製で、それを取り囲む四面の壁には市街地の風景が写し出され、iPadを使うと街を歩く人が見える仕組みになっていた。

 プロモーションビデオは2タイプあった。一つは武蔵小杉の街自体を宣伝する内容でシアターで上映された。もう一つはマンションを紹介する内容で、広い部屋の中にスクリーンと客席がそれぞれ3セット用意されて、「お好きなコーナーでご覧ください」というスタイルだった。

 取材から帰るとき渡された手提げ袋の中には、図面とカタログに加えて、木の箱が入っていた。箱を開けると半円形の書籍、手帖サイズの書籍、扇のように折りたたむ形式の書籍が入っていて、いずれも武蔵小杉の良さをアピールする内容だった。

 このように主催者が力を入れたため当方の記憶にも強く残る記者発表は、最近では野村不動産が主催した「富久クロスコンフォートタワー」以来のことになる。

 【タワーズイースト(東棟)物件概要】

 所在地─神奈川県川崎市中原区小杉町2丁目 

 総戸数─592戸

 規模─地上53階・地下1階

 敷地面積─約8500平米

 延床面積─約7万1000平米

 専有面積─約42平米~約106平米

 売主─三井不動産レジデンシャル

    JX日鉱日石不動産

 設計・施工─竹中工務店

 着工─平成26年10月18日

 竣工予定─平成29年12月

 第1期販売─6月27日~7月5日

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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