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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2016年8月2日

第219回三井不レジ「意気消沈」、三菱地所レジ「勢い」、住友不「前向き」

 マンションデベロッパー各社の雰囲気は、広報活動にそのまま反映される。今年4月から7月までの4カ月間に、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友不動産の3社が発表した、マンション関係のニュースリリースを比較した。

 【三井不動産レジデンシャル】

 4月1日「当社の業績に関する一部報道について」。一部の報道機関において当社の業績に関する報道がありましたが、当該報道は、当該報道機関が自らの取材や憶測に基づき見通しを報道したものであり、当社が発表もしくは開示したものではありません。

 

 6月7日「分譲マンション事業における杭施工に関する再発防止策について」。当社単独事業の分譲マンションにおいて、杭施工に関する再発防止策を実施いたします。

 ニュースリリースは4カ月間にわずか2件と異常に少く、いずれも傾斜マンション「パークシティLaLa横浜」がらみである。2015年10月16日に日本経済新聞が第一報を伝えてから、企業活動は「萎縮」し、かつ「意気消沈」している。

 6月7日のリリースには、なぜか「当社単独事業の分譲マンションにおいて」という条件がついている。「LaLa横浜」は三井不動産と明豊エンタープライズの2社JVだが、JV物件には今後どう対応していくのだろう。

 【三菱地所レジデンス】

 4月13日「ザ・パークハウス晴海タワーズ(1744戸)全体竣工」。「クロノレジデンス」に続き「ティアロレジデンス」全861戸も完売してという。

  

 5月9日「ザ・パークハウス新宿御苑、第一期即日登録申込完売」

 5月23日「資産形成コンパクトマンション事業始動」

 7月7日「分譲マンション初FSC、ザ・パークハウス大宮始動」

 7月13日「都心のフラッグシップマンションシリーズ、ザ・パークハウスグラン麻布仙台坂始動」

 7月26日「ザ・パークハウス大宮、第一期即日登録申込完売」

 こちらはリリース6件のうち3件が即完情報で、同社の勢いを感じる。

 ザ・パークハウスグラン麻布仙台坂の完成予想図(写真、左手前)。元麻布ヒルズが夕日を受けて金色に輝いている

 【住友不動産】

 4月5日「職住近接の街、新宿ガーデン全体竣工」

 4月14日「武蔵小山駅前通り地区(住宅500戸)、再開発組合設立認可」

 7月8日「全922邸、シティテラス小金井公園、一般公開」

 7月20日「共立女子大学、マンションのキッズルームをデザイン」

 7月27日「リフォーム総合展示場、武蔵小杉ギャラリー、オープン」

 住友不動産は今年3月、傾斜マンション「パークスクエア三ツ沢公園」の全棟建替を決定した。しかし、それはそれとして、問題発生の以前も以降も、変わらないペースで前向きにリリースを発表し続けている。

 シティテラス小金井公園。7月9日にモデルルームの一般公開を開始した

 最寄り駅からマンションまで走る専用シャトルバスの体験会も実施

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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