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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2012年1月31日

第56回東京都の旧耐震マンションは約43万戸

 現在の耐震設計基準、通称で「新耐震基準」が適用されたのは1981年(昭和56年)6月になる。この、新耐震基準で作られたマンションの強度を1.0とすると、旧耐震基準マンションの強度は0.6~0.8程度とされ、おおむね古い時期の建物ほど強度が弱くなる。

 東京カンテイの調査によると、旧耐震マンションのストックは全国で約3万9000棟、約147万戸に達する。その都道府県別ランキングは次のようになる(2011年9月時点、戸数ベース)。

 1位 東京都──43万5842戸、1万1195棟

 2位 大阪府──20万8177戸、3458棟

 3位 神奈川県──19万0557戸、5961棟

 4位 千葉県──12万8376戸、4011棟

 5位 兵庫県──9万9393戸、2796棟

 6位 埼玉県──9万1186戸、2859棟

 7位 愛知県──6万9263戸、2185棟

 8位 福岡県──5万3050戸、1582棟

 9位 北海道──3万9479戸、828棟

 10位 京都府──3万3263戸、690棟

 これを、棟数ベースで示すと、次の図のようになる。


 次に、東京都における旧耐震マンションストックの地区別ランキングを示す。

 1位 港区──3万5727戸、782棟

 2位 新宿区──2万9096戸、686棟

 3位 世田谷区──2万8961戸、949棟

 4位 渋谷区──2万5714戸、703棟

 5位 江東区──2万4466戸、312棟

 これを、棟数ベースで示すと、次の図のようになる。


 このように、旧耐震マンションは東京都に多く、しかも港区、新宿区、渋谷区などの都心、および世田谷区、江東区、杉並区などに集中していることが明らかである。

 そして、旧耐震マンションは、見方を変えれば、耐震補強工事や建替え工事などのターゲットということにもなる。

 ちなみに、2010年の供給戸数は約8万5000戸だったので、旧耐震のストック約147万戸はその約17年分に相当する。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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