日本ブランド戦略研究所は年に1回、日本の有力企業232社を対象に、「Webサイトの価値ランキング」を公表している。これは、一般消費者へのアンケート調査にもとづいて、Web サイトの価値を金額に換算して並べたランキングである。

　その2010年版ランキングによると、1位パナソニック（815億円）、2位ホンダ（661億円）、3位NTTドコモ（654億円）などとなった。

　住宅関連企業では次の各社がランクインしている。

　23位──大和ハウス工業（258億円）

　32位──ミサワホーム（176億円）

　45位──セキスイハイム（142億円）

　46位──旭化成ホームズ（141億円）

　59位──積水ハウス（114億円）

　78位──住友林業（78億円）

　83位──パナホーム（74億円）

　88位──三井不動産（69億円）

　109位──三井ホーム（54億円）

　133位──大京（37億円）

　170位──穴吹工務店（23億円）

　住宅関連企業のランキングには、「なるほど」とうなずける点と、逆に「おかしいな」と首をかしげてしまう点が混在している。

　まず、うなずけるのが、住宅メーカーが23位の大和ハウス工業以下、8社が比較的上位にランクインしているのに対して、マンション関連会社は88位の三井不動産以下、3社しかランクインしていないことだ。

　消費者の目線から見た場合、住宅各社のWebには、親しみやすさに加えて、話題性、一覧性、検索性の3要素が揃っていてほしい。その点、住宅メーカー各社は比較的よくそれに応えている。しかし、マンション関連各社のWebは、必ずしも目線を消費者に向けているわけではないため、親しみやすさが不足している。よって、住宅メーカーが健闘し、マンション関連会社が不振だったのは、妥当な感じがする。

　住宅メーカーでは、大和ハウスと積水ハウスが「2強」と称されるが、Web価値に関しては、「大和ハウス258億円」vs「積水ハウス114億円」と、大きな差が生じた。その理由は、両社のWebを比べれば一目瞭然である。大和ハウスのWebは柔らかくて楽しいのに、積水ハウスのWebは硬くて楽しさがない。

　次に、「おかしいな」と首をかしげてしまう点である。マンション関連会社として、何を根拠に三井不動産、大京、穴吹工務店3社のWebだけを調査対象に取り上げたのだろう。大京はいいとして、三井不動産は三井不動産レジデンシャルに入れ替えた方がよさそうだし、再建途中の穴吹工務店が加わるのには違和感がある。

　少し調べると、疑問は解消した。不動産経済研究所「全国マンション市場動向」の2008年発売戸数ランキングが、1位大京、2位三井不動産レジデンシャル、3位穴吹工務店なっている。このうち、三井不動産レジデンシャルを、親会社の三井不動産に置き換えた結果なのであろう。

　しかし、不動産経済研究所の発売戸数ランキングに基づく限り、「Webサイトの価値ランキング」2011年版は、さらに訳の分からないものになりそうだ。それは、不研の2009年発売戸数ランキングが、1位大京、2位住友不動産、3位藤和不動産となっているからだ。

　問題は3位になった藤和不動産の扱いだ。周知のように、藤和不動産の住宅分譲事業部門は、三菱地所および三菱地所リアルエステートサービスの住宅分譲事業部門と統合し、来年１月１日から「三菱地所レジデンス」となる。

　しかし、「Webサイトの価値ランキング」2010年版で採用した手法によれば、対象になるのは「三菱地所レジデンス」ではなく、藤和不動産または三菱地所ということになる。そんな複雑な話について行ける人がいるのだろうか。

　分譲マンション事業に関心を持つ者として、理想を言うなら、いわゆる「メジャーセブン」、すなわち住友不動産、大京、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンスのWebを比較してほしいと思う。ただし、「メジャーセブン」が発売戸数で1位から7位を占めている訳ではないので、これもまた分かりにくい要望なのかもしれない。