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「斜め45度」の視点

2022年6月7日

第401回 分譲マンションとしては港区最大、旧逓信省跡地に注目の『三田ガーデンヒルズ』が始動

 2022年4月25日、三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスは協同で、次のようなタイトルのニュースリリースを発信しました。

『三田ガーデンヒルズ』始動

◆「国内最大規模ZEH」かつ「CO2排出量実質ゼロによる環境配慮」と
 「オンサイト発電によるレジリエンス強化」

◆港区最大敷地「約2万5000m²の旧逓信省跡地」に
 「全 1002戸のプロジェクト」

◆「2022年4月25日(月)オフィシャルサイト開設」

 このうち「ZEH」とは、『net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)』の略語で、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味になります。

 次に「オンサイト発電によるレジリエンス強化」について説明します。

 これは、「敷地内(オンサイト)」に「太陽光発電と中圧ガスを利用した再エネ電源を設置する」ことによって、「継続的・安定的に」電力を供給。

 その結果、「レジリエンス機能」すなわち「困難な状況にもかかわらず、しなやかに適応して生き延びる力)」を強化しようという仕組みです。

 これをまとめると、「家庭で使用するエネルギーと、太陽光発電などで創るエネルギーをバランスさせて、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロにするように努力」、「その結果、脱炭素社会に貢献する」 というような考え方になります。

 URL<https://www.mfr.co.jp/content/dam/mfrcojp/company/news/2022/0425_01.pdf>

 [■■]港区最大の敷地となる「旧逓信省跡地」、戸数は1002戸

『三田ガーデンヒルズ』は都営大江戸線・東京メトロ南北線「麻布十番」駅から徒歩5分。敷地面積は約2万5000平方メートルと、港区としては最大の規模になります。

 さらに、三井不動産グループおよび三菱地所グループが、東京の都心において、「広尾ガーデンヒルズ」以来、38年振りに共同開発するマンションになるそうです。

 三井不動産レジデンシャルのコンセプトは、「Life-styling×経年優化」。そして三菱地所レジデンスのコンセプトは「一生ものに、住む」。三井・三菱のコンセプトを両立させようとする、「象徴的なプロジェクト」ということになります。

 また、この敷地は、旧「逓信省簡易保険局庁舎」の跡地です。そして南側には、三井グループの迎賓館「綱町三井倶楽部」が建っています。

 それゆえに、歴史的建造物である旧「逓信省簡易保険局庁舎(1929 年竣工)」を一部保存・再生して、格式あるファサード・デザインを復活。歴史の継承と景観への配慮に努める方針です。

 そのため、東京を拠点に活動する「建築設計事務所ホシノアーキテクツ」がメインデザインを担当。さらに、ロンドンを拠点に活動する「建築設計事務所ホプキンスアーキテクツ」が、ファサード・デザインに参画したということです。

[■■] 帝国ホテルと提携したコンシェルジュサービス

◆「ハイグレードなマンション」ということで、入居者に「豊かな暮らしを提供する」ためのスペースも盛り沢山です。

◇ジム、ゴルフラウンジ
◇サウナ、岩盤浴
◇シアタールーム、ミュージックルーム
◇カフェラウンジ、 バー、レストラン(店舗)

◆帝国ホテルと提携した、「コンシェルジュサービス」を用意しています。
 マンション内のバーラウンジで、帝国ホテルのバーテンダーが対応。

◆多様なフロントサービスを用意。
 バレー(駐車サービス)、バトラー(執事のようなサービス)、ポーター(荷物を運ぶサービス)など、多様なフロントサービスを用意しています。

◆ 感染予防対策
 新型コロナを予防するために、「非接触型オートロック」や「非接触型エレベーター」を採用。さらに、「共用施設の予約状況やCO2濃度情報」を提供 する『IoT』の活用、「適切な換気・湿度調整」等も実施する方針です。

[■■]『三田ガーデンヒルズ』概要
 所在地——東京都港区三田一丁目102番1(地番)
 交通——東京メトロ南北線・都営大江戸線「麻布十番」駅徒歩5分
 都営地下鉄三田線「芝公園」駅徒歩10分
 用途地域——第二種住居地域・第一種文教地区
 構造・規模——鉄筋コンクリート造・地下2階地上14階他
 敷地面積——約2万5246m²

 専有面積——29m²台~370m²台
 総戸数——1002戸(他店舗2区画)
 販売サロン開設時期——2022年秋頃(予定)
 竣工時期——2025年3月(予定)
 設計・施工——大成建設
 オフィシャルウェブサイトURL<https://www.31sumai.com/mfr/X1712/>

[■■] 細野透の実感

『三田ガーデンヒルズ』のオフィシャルウェブサイトを覗くと、そのフロントページには、次のような文章が掲示されています。

◆THE GATED HERITAGE、港区三田・特別な丘の上で。
 悠久の歴史を抱く丘の上に、
 港区最大の邸宅地が出現する。
 未来へと受け継ぐために創造される、
 1002戸の新たなヴィンテージ。
 多彩な価値観がここで交わり、
 ひとつの文化を織りなしながら、
 ここにしかない豊かさを育んでいく。」

 そして、次のようなページが続いています。

◆格別なる丘に、格別なる名邸を。
 日向坂の頂。
 綱町三井倶楽部やオーストラリア大使館、
 イタリア大使館が佇む丘。
 そこに描かれる、
 旧逓信省の歴史的建造物を継承する建築美。
 そして、帝国ホテルとの提携による卓越したホスピタリティ。
 すべてに求めた格の違いは、
 名邸の概念を塗り替えるだろう。

◆かつてない上質が、待ち受ける。
 歴史を受け継ぐ重厚な扉を開けると、
 緑あふれる広大な敷地がひろがる。
 そこは、揺るぎないセキュリティとプライバシー性によって
 恒久の安心と快適を叶えた街。
 多彩なサービスと共用施設が、
 暮らす人の毎日をあざやかに彩っていく。

◆住人専用、都心の森。
 敷地の中心にひろがる豊かな森。
 東京のまっただ中であることを
 忘れさせるほど閑静なこの庭は、
 四季折々の植物にあふれ、
 安らぎと解放感を与えてくれる。

◆住まう人に、そして地球に愛されるマンションを目指して。
 歴史的建造物を保存・再生し、
 未来へ残していくという挑戦。
 CO2排出量実質ゼロの実現を目指した
 電気・ガスのエネルギーネットワークを導入予定。
 国内最大規模の全戸ZEH orientedを取得予定。
 非常時にも共用部・専有部に継続的かつ安定的に
 電力を供給する太陽光+燃料電池。
 永く住まうことを目的としたホスピタリティとソフトサービス。
 サステナブルという価値観を超え、
 新しい世界基準の邸宅としてのクオリティを
 未来へとつないでいく。

◆都市の未来を見渡す丘で。
 西は日向坂、東は綱の手引き坂。
 指折りの由緒を持つ坂を上がった丘の頂上には
 歴史と文化が息づき、深い緑と青い空がひろがる。
 綱町三井倶楽部、オーストラリア大使館、イタリア大使館が軒を連ねる
 悠久の歴史を抱くこの地に、
 港区最大敷地面積となるMITA GARDEN HILLSは誕生する。
 低層住宅でありながら、日当たりと眺望を手に入れた稀有な立地。
 さらに、丘の上に位置しながら
 麻布十番駅から徒歩5分でフラットに
 アプローチすることができる。

 私(細野透)は「建築&住宅ジャーナリスト」として、多くのマンションを取材してきました。それらを振り返っても、マンションデベロッパーがこれほど「思いを込めた文章」を書いたケースに遭遇するのは、極めて希なことです。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャ─ナリスト。建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。

東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、 『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、 『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。


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