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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2017年5月9日

第246回「第1期販売好調」を伝えるニュースリリースの価値

 4月下旬に近鉄不動産、大和ハウス工業、名鉄不動産から、「ローレルスクエア健都ザ・レジデンスの第1期販売が好調」というニュースリリースが送られてきた。

 販売戸数140戸のうち、4月26日時点で成約戸数が110戸(見込み)という好調な結果となりましたので、お知らせします──という内容だった。計算してみると「110戸÷140戸=約79パーセント」なので、初月契約率は好調とされる70パーセントを大きく上回っている。

 振り返ると、マンション販売が好調だった2013年~2015年頃には、デベロッパー各社から「第1期即日完売」という、元気のいいニュースリリースがしょっちゅう送られてきた。ただ当時は第1期即完は珍しくなかったので、このコラムで取り上げたのは数回に過ぎない。

 しかし、市場が落ち込んでいる今は、第1期販売の結果に対する受け止め方が大きく変わってきた。好調期であれば「第1期即日完売」でさえもニュース価値はそれほど高くはなかったが、停滞期であれば「初月契約率70パーセント超」というニュースの価値は高いのである。

 そういう意味で、「ローレルスクエア健都ザ・レジデンス」のニュースリリースには、新鮮な感じがしたし、元気付けられもした。近鉄不動産、大和ハウス工業、名鉄不動産の行為に敬意を表したい。

 デベロッパー各社も今後、初月契約率70パーセント超を1つの基準にして、同様の試みをしてもいいのではないか。

 【ローレルスクエア健都──第1期販売の概要】

 ・販売方法 登録抽選方式

 ・販売戸数 140戸

 ・契約戸数 110戸(見込み)──北摂エリア第1位

 ・販売価格 3698万円~6858万円 

 ・専有面積 61.08平米~94.77平米

 ・間取り 2LDK~4LDK 

 ・最多価格帯 4300万円台(30戸) 

 ・登録申込期間 3月4日~3月11日

 「ローレルスクエア健都ザ・レジデンス」は、約50haのJR吹田操車場跡地を再開発して、「国立循環器病研究センター」を中心とする「北大阪健康医療都市(愛称、健都)」に建設されるマンションで、次のような特徴を持つ。

 (1)北大阪健康医療都市(健都)のランドマークとなる健康マンション。

 (2)国立循環器病研究センターとの連携によって、「健康ソフトサービス」「高度循環器ドックの受診権付与」などの健康管理サービスを提供する。

 (3)エクササイズルーム、ウォーキングコース、ランニングコースなど健康増進施設を整備する。

 (4)プランニングに近鉄不動産の「エイジングフリー」「マドルノ」などを導入する。

 (5)15階建2棟、20階建3棟、全824戸という大規模マンション。

 (6)敷地はJR東海道本線(京都線)「岸辺」駅から徒歩7分。 

 第1期販売で契約者が評価したのも、ほぼ以上の諸点だった。契約者のプロフィルを3点の図にまとめた。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャ─ナリスト。建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。

東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、 『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、 『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。


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