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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2013年5月21日

第104回「シャトー三田」が「ザ・パークハウス広尾羽澤」へ(ビフォー&アフター 3)

 野村不動産と三井不動産レジデンシャルが、6月下旬に販売する「ザ・レジデンス三田」の敷地は、東京都港区三田2丁目にある。大江戸線赤羽橋駅から徒歩6分、都営三田線芝公園駅から徒歩8分、山手線田町駅から徒歩13分などの距離にある。

 

 約3700平方メートルの敷地には、昭和 39 年に完成した「シャトー三田」の跡地である。建築主は高級マンション「シャトーシリーズ」の建築・分譲で知られた黒川建設。

「シャトーシリーズ」はマンションの黎明期に登場。入口を見渡せる管理人室、常駐する管理人、エレベーター、平置き屋内駐車場など当時として先進的だった設備とサービス、そして好立地によって注目された。また、築年が経過した後には、いわゆる「ヴィンテージマンション」と目された。

 このうち、「シャトー三田」は地下2階・地上8階、事務所・店舗区画 を併設した住宅総戸数 95 戸のマンションで、24 時間有人管理、茶室、ゴルフ練習場を備えるなどして大きな話題を集めた。

 その後、老朽化等の諸問題に対応するため、平成16年からマンション管理組合が建替えの検討を開始。平成21年4月には、保留床取得予定者として野村不動産と三井不動産レジデンシャルが事業参画。平成22年7月にマンションの敷地および隣接地を合わせて新敷地とする建替え決議が成立した。

 平成23年3月には、総合設計制度の許可を取得。周辺住民のために広場状の公開空地を設置するなど公共性を高めることで、最大割増容積率215%増(400%→約615%)を確保した。

 「ザ・レジデンス三田」は鉄筋コンクリート造 (一部鉄骨造)、 地上24階・地下2階。総戸数252戸(非分譲住戸77戸)という規模になる。

 建替前

  延床面積 約1万6750平方メートル

  総戸数 95 戸

  延床面積/戸数 176平方メートル/1戸

 建替後

  延床面積 約3万2400平方メートル

  総戸数 252 戸

  延床面積/戸数 129平方メートル/1戸

 建替前と建替後の1戸当たり延床面積を単純に比較すると、176平方メートルから129平方メートルへと、不思議な変わり方をしている。

 「ザ・レジデンス三田」の住戸専有面積は52.39平方メートル~146.65平方メートル。そのコンセプトは「伝統と、モダンと、異国の薫りと、三田に宿る精神を住まいに込めていく」。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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