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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2012年3月27日

第62回「団地R不動産」がスタート

 月間PVが300万を超える人気サイト「東京R不動産」に、新しい実験サイトが加わった。「団地R不動産」(http://www.realdanchiestate.jp/)である。

 日本住宅公団(現、UR都市機構)が建設してきた、全国76万戸のなかから、「設計者がいい仕事をした」団地を選んで、写真、図面、文章で紹介する。

 その中で、ひときわ目立つのは、色とりどりのテラスハウスで構成された、藤沢台第5団地(大阪市富田林市藤沢台)である。「団地」のイメージから少し離れ、新興住宅地の一街区といった雰囲気を持つ。

 東京R不動産の運営ディレクターに名前を連ねているのは、馬場正尊、吉里裕也、林厚見、安田洋平の各氏。団地R不動産は、建築設計事務所OpenAの代表で、東北芸術工科大学准教授の馬場氏が担当した。

 「若い世代が賃貸住宅を借りようとしても、ネットに掲載されているのは、民間の賃貸住宅だけ。そのため、ほとんどの人が、UR賃貸という選択肢が存在することに気づいていません。若い世代に向けた新しいチャンネルの提供を目的にしました」(馬場氏)。

 サイトを見ると2月末時点で掲載されているのは、木場公園三好住宅(東京都江東区)、葛西クリーンタウン(東京都江戸川区)、高根台団地(千葉県船橋市)、常盤平団地(千葉県松戸市)など、首都圏と関西圏の計16団地である。

 現時点では、団地の情報紹介を行うことを目的として、特記があるものを除き、個別の物件についての入居者募集情報の提供は行っていない。しかし、今後は機能を拡充。(1)今秋までに数十団地を掲載し、(2)入居者募集機能も付加し、(3)将来的にはUR分譲も対象にする、方針である。

 団地R不動産が開設されたあと、東京R不動産のメンバーが「北砂5丁目団地」(東京都江東区北砂)に引っ越し。2月下旬から、団地ライフのレポート連載を開始している。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャーナリスト。建築専門誌「日経アーキテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリージャーナリストとして活動。  東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。日本建築学会・編集委員会顧問。 ブログ『建築雑誌オールレビュー』を主宰。日経産業新聞『目利きが斬る・住宅欄』に寄稿。  著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『建築家という生き方』(共著、日経BP社)、 『ありえない家』(日本経済新聞社)、『建築産業再生のためのマネジメント講座』(共著、早稲田大学出版部) 、 『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)ほかがある。


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