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スペシャリストの眼

「斜め45度」の視点

2021年2月9日

第369回 緊急事態時における「メジャーセブンの販売活動」を分析

 新型コロナウイルスの感染が急拡大していることから、政府は昨2020年4月7日〜5月31日の緊急事態宣言に続く、再度の緊急事態宣言・発出に踏み切りました。

 まず、2021年1月8日〜2月7日まで、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県に、緊急事態宣言が発令されました。さらに、栃木県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県にも、1月14日〜2月7日まで、緊急事態宣言が発令されました。

 この2度目の緊急事態宣言によって、「マンションデベロッパー各社」はどのような影響を受けることになるのでしょうか。

 私は1月22日に、マンションデベロッパーとして強い影響力を持つ「メジャーセブン7社」の対応について、ざっと調べてみました。会社名を挙げると、住友不動産、大京、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンスになります。


「メジャーセブンのウェブサイト」
URL<https://www.major7.net>

【■■】東京建物の対策

 このうち、最も対応が早かったのは、東京建物でした。2021年1月8日には次のようなリリースを出しています。

 ◇「緊急事態宣言」発出に伴う勤務体制について

 東京建物株式会社は、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が発出されたことを踏まえ、当面の間、一都三県(東京・神奈川・千葉・埼玉)に所在する事業所への出社率の目安を3割程度といたします。また、会食等につきましても自粛させていただきます。お客様・お取引先の皆様にはご不便、ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解の程お願い申し上げます。

 さらに1月13日には、次のような追記をしています。

 本日より対象エリアを一都三県から全国へと変更し、全事業所への出社率の目安を3割程度といたします。


「東京建物のニュースリリース」
 URL<https://pdf.irpocket.com/C8804/HFxQ/q0gM/bWXW.pdf>

【■■】三井不動産レジデンシャの対策

 また2021年1月8日には、三井不動産レジデンシャルもリリースを出しました。

 ◇弊社マンション・戸建て販売センターの営業について

 弊社のマンション・戸建て販売センターは、通常どおり営業(事前予約制)をいたしております。緊急事態宣言を受け、これまで以上にお客様と弊社営業スタッフの安全配慮ならびに感染防止策の徹底に努めてまいります。

 なお、主な感染防止策、ならびにご来場されるお客様へのお願い事項は以下のとおりです。ご不便とご迷惑をおかけいたしますが、ご理解賜りますよう何卒お願い申し上げます。

 ◇感染防止への取り組み
 室内換気を徹底いたします。
 接客テーブルや椅子、タブレット端末、モデルルーム等の消毒作業を徹底いたします。
 営業スタッフは、ご案内、ご商談時にマスクを着用させていただきます。
 接客テーブルにアクリルパーテーションを設置いたします。
 営業スタッフはご要望に応じて手袋を着用いたします。
 営業スタッフの検温、手洗い、うがいを徹底いたします。

 ◇お客様へ
 密接な接触を防止するため、ご来場数を制限させていただいております。ご来場に際しましては、必ず事前のご予約をお願いいたします。

 新型コロナウイルスの初期症状とされております、咳や発熱、味覚・嗅覚異常、倦怠感などがあるお客様におかれましては、ご来場をお控えいただきますようお願いいたします。

 ご来場の際は、マスクの着用をお願いいたします(お手元にマスクがない場合は営業スタッフにお申し出ください)。

 キッズコーナーのご利用は、当面中止させていただきます。


「三井不動産レジデンシャルのニュースリリース」
 URL<https://www.31sumai.com/content/dam/mfrcojp/company/news/2021/0108_01.pdf>

【■■】大京の対策

 さらに、2021年1月27日には大京がリリースを出しました。

 ◇新築分譲マンション「ライオンズ綾瀬セントマークス」
 「オンラインプロジェクト発表会」を2月13日(土)・14日(日)に開催

 株式会社大京(本社:東京都渋谷区、社長:深谷 敏成)は、新築分譲マンション「ライオンズ綾瀬セントマークス」(東京都足立区、地上9階建て、総戸数33戸)の購入をご検討されているお客さま向けに、物件の説明とファイナンシャルプランナーによるミニセミナーを行う「オンラインプロジェクト発表会」を、2021年2月13日(土)、2月14日(日)に開催しますのでお知らせします。

 対面での商談や外出に不安を感じている方が多い一方で、テレワークの導入など働き方の多様化の進展により、都心のみならず郊外のマンション購入需要が高まっています。

 オンラインでの本発表会では、複数のお客さまに同時にご参加いただけます。ウェブ会議システムのウェビナーモードを使用することにより、各参加者の画像や個人情報などプライバシーに配慮して開催いたします。

 マンションギャラリーでご紹介している物件コンセプトや周辺環境、交通アクセス、間取りなどを中心にオンライン上でご紹介するほか、ファイナンシャルプランナーの北野琴奈氏から「コロナ禍における不動産市況について」をテーマに、動画によるミニセミナーを配信する予定です。

 今後も、福岡市にて2021年3月中旬に販売開始予定の「ライオンズミレス西新」(福岡県福岡市、地上13階建て、総戸数60戸)など、新規発売物件におけるオンラインプロジェクト発表会を開催する予定です。

 当社は、今後も安心して住まいをお探しいただける機会をご提供するとともに、多様化するライフスタイルや住居に対するさまざまなニーズにお応えする住宅サービスをご提案してまいります。


「大京のプレスリリース」
 URL<https://www.daikyo.co.jp/news/dev/files/20210121.pdf>

【■■】「2020年の緊急事態」と「2021年の緊急事態」の違い

 私は「Realnetニュース」に2020年5月6日付で、次のような記事を寄稿しました──。

「新型コロナでメジャーセブンの販売活動が冬眠状態に」
 URL(https://news.real-net.jp/pickup/116793)

 日本中が緊急事態宣言に染まった2020年4月の最終週に、私はマンションデベロッパーとして強い影響力を持つ「メジャーセブン7社」の対応についてざっと調べてみました。

 具体的にいうと、住友不動産、大京、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス(50音順)の各社です。そして、「メジャーセブン7社が冬眠状態になっている」、事実を確認しました──。

◇2020年5月の緊急事態時の対応
 緊急事態宣言が続いている期間は、メジャーセブン7社でさえも、「新築分譲マンションの販売に関しては、「冬眠状態」に入らざるを得ない状態になっていました。

◇2021年1月〜2月の緊急事態時の対応
 それに対して今回は、メジャーセブン7社は「冬眠状態」を避けようとしています。すなわち、東京建物は「全事業所への出社率の目安を3割程度に抑える」、三井不動産レジデンシャルは「来場者数の制限、感染防止策の徹底」、大京は「オンラインプロジェクト発表会」などの対策を講じることによって、「営業活動」を続けようと努力しているのです。

細野 透(ほその・とおる)

建築&住宅ジャ─ナリスト。建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。

東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。

著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、 『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、 『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。


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